2017年 妻夫木聡、満島ひかり共演。暗い。ただただ暗い。妻夫木聡という稀有な俳優を生かせる作品だったかどうか。
あらすじ
エリートサラリーマン一家殺害事件から1年が経ち、雑誌記者の田中はもう一度事件を調べなおしたいと上司に申し出る。
ちょうどそのとき、田中自身も問題を抱えていた。妹の光子（満島ひかり）が、育児放棄で逮捕されたのだ。
田中は被害者の夫婦の友人たちに取材を重ねる。すると今まで見えていなかった被害者のもう一つの顔が浮かび上がるのだった・・。
感想
ストーリーはめちゃくちゃ面白い。被害者のもう一つの顔があらわになってくる下りが丁寧に描かれています。これは原作の面白さそのものではないかと思いますが、ただこれは映画です。
小説は余白の想像の時間とともに成り立っています。しかし映画の観客は自由のない、箱の中にいるのです。セリフの合間の数秒で想像しなければなりません。
「愚行録」という題のミステリアスさに惹かれて気になっていた映画ですが、妻夫木と満島の素晴らしい演技だけでは埋められない、もどかしさが残りました。
ネタバレはしたくないですが、例えばすべての人が当事者になる流れなら、もう一人第三者が存在しても良かったかもしれません。
そして驚愕の事実が明らかになったとき、そこで演者の態度はそれなりにシフトすべきだった気がしますが、どことなく抑揚の無い感じで終わってしまいました。
そういうところが怖い、とも言えますが、映画なのでドラマチックにしたほうが万人に、特に私のような普通の人に受け入れやすかったと思います。
