2022年 ギレルモ・デル・トロ監督 アカデミー賞から2年、スターが揃っている作品なのですが・・
あらすじ
ショービジネスでの成功を夢みる野心にあふれた青年スタン(ブラッドリー・クーパー)は、人間か獣か正体不明な生き物を出し物にする怪しげなカーニバルの一座とめぐり合う。
そこで読心術の技を学んだスタンは、人をひきつける天性の才能とカリスマ性を武器に、トップの興行師となる。しかし、その先には思いがけない闇が待ち受けていた。映画.com
感想
大がかりな予告編にすっかり魅せられ、楽しみに映画館に行かれた方も多いことでしょう。
私としては、レビューの内容がちょっと気になったので、過度な期待をせず鑑賞しましたがそれで正解でした。
原作はとても古く、映画化されるのは2度目とのこと。絶対に面白くなるはずの筋書きで、実際にまあまあ面白い展開になるのですが、なぜだろう、途中で眠たくなりました。
先が読めてしまったからなのか、ブラッドリー・クーパーが平凡だからか。
映画というのはどれだけいい条件がそろっていようと、観客に届くかどうかはわからないものなのだなと改めて実感。
ギレルモ・デル・トロ監督ならではの情緒ある昔の見世物小屋の再現は本当に素晴らしいし、俳優さんたちもペテン師のようで温かい人々をそれぞれうまく演じています。じゃあそれなのになぜ?
それはひょっとして主人公のスタン(ブラッドリー・クーパー)に原因が? たしかにずっと出ずっぱりなのですが人物に深みが無い気がしてきます。
それというのもストーリーに足りないところがあるためでは、と私は考えます。
それはつまり「スタンの過去」。ところどころ挿入される悲しい場面が印象に残るのに、なぜかそれについて詳しく説明がされないままなのです。
父親との関係性、火に包まれた部屋、だいたいの想像はできるのですが、ちゃんと説明されないと映画として物足りなくなります。
なぜならここが映画として面白くなるための核心部分だったと思うから。主人公の過去っていちばん興味をそそる部分だと思いませんか。
なぜ彼があのような野心に満ちた人物になったのか、そのために最後があんなことになったのに・・
かくして痒いところに手が届かないまま映画が終わりを迎えてしまいます。
「何だったんだろう。」
エンドロールをぼーっと眺めつつ心でつぶやく私を残し、まわりではサーッと人々が席を立っていきました。