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『リトル・フォレスト 夏/秋 冬/春』映画のあらすじ&感想

2014~2015年 橋本愛主演。「小森は東北地方の村にある小さな集落です・・」小さな集落で暮らす女性いち子の自給自足の暮らしと、彼女の心の移り変わりを自然豊かな風景とともに描いています。夏・秋と冬・春編がそれぞれ公開されました。

あらすじ

夏、都会から戻ったいち子は山あいの道を自転車を走らせていた。大自然の中で田畑を耕し、レトロな台所で手作りの美味しそうなものを作るいち子。

近所の人たちとの交流、野菜作り。ある時出ていってしまった母から教わったことを思い出し一人で暮らしていく。

そんなある日、いち子は近所に住む後輩のユウ太から、「いち子さんは、何かだいじなことから逃げているように見える」と言われる・・。

感想

主人公のいち子が、田舎で田畑を耕し、古い家で自然食を作って食べる様子が、丁寧に丁寧に描かれています。この映像で癒されてしまうのは、いったいなぜなのでしょう。

私達の生活と、いったいどこが違うのでしょう。もしかしたら違わないのかもしれません。

人がただ生きているということ。生きていくということを美しい映像にして見せてくれる。

「そうだ。生きるってこういうことかなあ。」と気付く。

こういうことです、と強いメッセージは無く、「こういうのどうです?」というぐらいの自然なアプローチで映画は展開します。

四季のある国で四季など関係なく生活できる時代に、わざわざ厳しい自然の中に身を置く。そこにいるのは毎日はたらく小森集落の人々。

ちゃんと生きていく、ということの重さがいち子を通して伝わります。

それにしてもフードコーディネイトの野村友里さんが演出した料理の数々が本当に素晴らしい。古民家の使い古された台所から立ち上る湯気と瑞々しい野菜たち。

手際よく料理する橋本愛もすごいし。この料理たちはもう一つの映画の主役です。

せめて心がけだけでも、「しっかりと自分の生活を生きよう」と台所に立ってみる。そんな気持ちになった4時間でした。