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『クラッシュ』映画のあらすじ&感想/たしかに力作映画ですが・・

2004年 アカデミー作品賞受賞。どんな力作だろう、と思って観ました。確かに力作。

ただこのポスターはちょっと違う。こういう世界観ではないです。

クラッシュ (字幕版)

あらすじ

グラハム(ドン・チードル)はロサンゼルス市警の刑事。あるとき人が銃で撃たれて殺害された現場に向かう。

そして物語はその男が撃たれるまでの36時間前にさかのぼる。

ある1つのカージャック事件が起き、犯人の黒人2人組、被害者の裕福な白人(サンドラ・ブロックとブレンダン・フレイザー)、そしてその同じ車種の車に乗る黒人富裕層の男女、その男女を職質し、妻にセクハラした人種差別主義の警官(マット・ディロン)。

最初の裕福な白人の家に鍵の取り換えをした有色人種の男(マイケル・ペーニャ)など、他にもさまざまな人々が関わり合い、共通しているのは人種差別が核にあり、問題に発展していくということ・・。

感想

日本人にとっては人種問題は難しいですが、このように理解するのですよ、と他国の人への説明書のような映画です。

特に、最初の起点になったカージャックの犯人は、世の中は黒人への偏見に満ちている、という考えの持ち主で、白人の女が自分をよけたのが、偏見によるものだと曲解し、そして事件を起こすので、なるほど、たぶん世の中の事件や戦争なんかもこういうことの積み重ねなんだろうな、と思ってしまいます。

淡々とそれぞれの人々の事件が交互に綴られ、そして繋がり、最後の殺人事件になります。

あの「ダンケルク」のように、「いつの時間帯をあらわしているんだろう?」とわからなくなる作りなので、最初の事件は、実は最後に起きること、だとわかって見たほうが理解が早く、映画を楽しめるかと思います。

ブレンダン・フレイザー以外、みんな演技が素晴らしい。特に刑事役のドン・チードルの哀しみに満ちた表情は映画全体を引き締めています。

(この十数年後、素晴らしい演技でアカデミー賞を受賞するブレンダン・フレイザー。一体何があったのでしょう)