あのとき見逃した映画は名作だったかもしれない
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『殿、利息でござる』映画のあらすじ&感想/真面目な力作です

2016年公開。どうしてこんな題にしたのかな。原作は磯田道史「無私の日本人」の中の評伝「穀田屋十三郎」です。「穀田屋十三郎」というタイトルじゃダメだったのかな。意外にも感動するいい映画なんですけど、この「殿、」という題からは全くそうは思えないですね、残念です。
殿、利息でござる!

あらすじ

仙台にある吉岡宿の穀田屋十三郎は、宿場町が貧困に窮している状況を憂いていた。

吉岡宿は物資の輸送を行う伝馬役になっているが、藩の直轄領ではないので助成金が出ず、宿場のお金を投じて馬や人出を手配するのでどんどん貧乏になるばかり。

十三郎は、ある時知り合った京の茶師・篤平治が、「町民から銭を集め、それを藩に貸し付け、利息で儲けよう」と思いつき、それを実行しようと、資金集めに乗り出すのだが・・。

感想

当時はコメディなのかと思って、「まあ見てみるか」ぐらいの感じでチケットを買いました。ところが全然違った。実に深い映画です。

事実を基にしているということもあり、どんどん引き込まれ、また俳優さんたちの演技もとても良くて、「見ておいてよかった~」と思う映画の1つとなりました。

なかでも妻夫木聡は、やっぱり俳優としての格が違う。ほんとに上手いし、存在感もあります。主役の阿部サダヲや瑛太も良かったし、悪役(みたいな)の松田龍平も「冷たい偉い品のあるお侍」の役が、とても板についていました。

難を言えばやっぱり日本映画らしく、クライマックスの詰めが甘い、ということでしょうか。もとが短編小説だから仕方ないのかなあ。でも大事なことは映画としてどう成立するか、ですから、最後は思い切った演出や仕掛けがあっても良かったかも。

羽生結弦選手が殿役で出演したことが話題になっていますが、殿が異次元の存在という位置づけなので、まあ合格点だったと思います。

意外にいい、と声を大にして言えます。見逃した方はどうかご覧ください。