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『奇蹟がくれた数式』映画のあらすじ&感想/天才数学者の伝記

2016年 じーんと静かに感動した映画でした。インドの天才数学者・ラマヌジャンを描いた伝記映画です。

あらすじ

インドで貧しい暮らしをしていたラマヌジャンは、独学で数学を学んでいたが、身分が低く学位も無いため相手にされない。

妻を養うために港湾事務員の職に就いたが、上司の勧めで数学の研究論文をケンブリッジ大学のG・H・ハーディ教授に送ると、早速ラマヌジャンを大学に呼び寄せる返事が届いたのだった。

バラモン階級の人間は海を渡ってはいけない、という母の反対を押し切り、ラマヌジャンは1人で旅立つ。

ケンブリッジ大学ではやはり身分の違いによってさまざまな迫害に合うラマヌジャン。

また独自のひらめきによって導き出した数式は、その証明を行うことが非常に難しかった。

やがて戦争が激しくなっていき、またラマヌジャン自身も病魔にむしばまれていた。

しかしようやく気難しいハーディとも打ち解け、数式の証明を2人で続ける。

ハーディはラマヌジャンをフェローに推薦する。その会議でのハーディの演説は集まった人々の心を動かす熱いものだった・・。

感想

ハーディはイギリスを代表する数学者です。そんな博士がのちに「自分自身に点数をつけるなら25点、ラマヌジャンは100点」と言っています。

結核にかかってしまったラマヌジャンはインドの奥さんのもとに帰国した後、若くして亡くなります。

彼が残したたくさんの数式はG・H・ハーディ教授や後輩の数学者によって、1997までかかって証明されました。

ラマヌジャンを演じたデーブ・パデールは「スラムドック&ミリオネア」の人。そしてハーディはジェレミー・アイアンズ。

悪役の印象が強くあるジェレミー・アイアンズですが、この作品では偉大な数学者をうまく演じています。

特に、ラマヌジャンをフェローに推薦する演説は老練な説得力があり、名シーンだと思います。じーんと胸に迫るような静かな感動を覚えました。

ハーディがラマヌカンに質問をしたことがあります。「どうやって数式を発見するのだね」 それに対して「ナマギーリ女神が教えてくれるのです」と真顔で答えたラマヌカン。

ハーディはラマヌカンのことを評して「彼が数学の基礎を学んでいなかったことで、彼にしかできないひらめきを得たのかもしれない」と言っています。

選ばれし天才のもとに、女神は舞い降りたのでしょう。