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サスペンス

『ダイヤルM』映画のあらすじ&感想/ヒッチコック作品のリメイクだが違い過ぎ

1998年 リメイク作品と思わないほうが楽しめそう。マイケルダグラスがはまり役。

あらすじ

破産寸前のスティーブン(マイケル・ダグラス)は妻エミリー(グウィネス・パルトロー)を殺し、彼女の莫大な財産を手に入れようとたくらむ。

エミリーの愛人デビッド(ヴィゴ・モーテンセン)の弱みを握ったスティーブンはそのデビッドに強盗を装わせ、彼女を殺害させようとする。

やがて覆面をかぶった強盗が自宅にいたエミリーに接近。だがエミリーは逆に強盗を殺してしまう。しかもそれは見知らぬ男だった……。映画com.

感想

ラストが惜しい。その一言に尽きます。

この映画、ヒッチコックの「ダイヤルMを廻せ」のリメイクだそうですが、どうみてもまったく違う作品です。

美しい妻が不倫とか、夫が妻の殺害を企むとか、よく似たストーリーではあるのですが、まったく佇まいが違います。

そのもともとのストーリーがあるばっかりに、ちょっとでも寄せなくてはいけないので理屈が合わなくなりそうになるのをなんとか無理やり納得させられてる感が見え隠れ。

ただそれでも、はっきり言ってこの作品、なかなか面白い映画なのです。

ヒッチコック版を知らない人は特に、意表を突く展開にそのうち手に汗握るのは間違いありません。

マイケル・ダグラスの冷たい演技もいい。ヴィゴ・モーテンセンが若くてかっこいい。グウィネス・パルトローが最も魅力的で美しい時。

そういうわけで、この映画、リメイクとしては「違いすぎ」なのですが、サスペンス映画としてはなかなかA級の仕上がり。とちゅうからは、もはやダイヤルとかMとかまったく忘れて「どうなるの?」と身を乗り出してしまうぐらい。

それなのに、せっかくのラストが。ああもう少し練ってほしかったなあ、と口惜しい。バイオレンスな展開なのですが、なんだか安易に終わった気がする。

大事なところです。ラストって。ここの善し悪しで映画全体の印象が決まってしまう。

われわれ一般人は、「終わりよければすべて良し」と考えるところがあります。そこをもうちょっと汲み取っていただくと、映画に命を与えることができたと思うのですが。