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サスペンス

『ナイル殺人事件』映画のあらすじと感想/いろんな意味で上質なミステリー

2022年 ケネス・ブラナー監督・主演。オリエント急行殺人事件に続く、アガサ・クリスティ原作のミステリーの映画化。

あらすじ

エジプトのナイル川をめぐる豪華客船の中で、美しき大富豪の娘リネット(ガル・ガドット)が何者かに殺害される事件が発生。

容疑者は彼女の結婚を祝うために集まった乗客全員だった。

名探偵エルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)は“灰色の脳細胞”を働かせて事件の真相に迫っていくが、この事件がこれまで数々の難事件を解決してきたポアロの人生をも大きく変えることになる。映画.com

感想

こういう犯人探しのミステリーは、いかによくできていても、犯人やストーリーがわかった状態で鑑賞すると、その楽しみは半減またはそれ以下になります。

私の場合、1978年のナイル殺人事件の映画は観ていなかったので、まったく初見で物語を追うことができ、とてもワクワクドキドキで面白かったです。

それに加えて、名探偵ポワロの過去についても触れていたり、今でもある「格差」問題、人種、トランスジェンダーなどさまざまなネタを混ぜ込んだ、飽きさせない内容になっていました。

1930年代の豪華客船カルナック号は、1艘まるごと作ってしまったとのこと。調度品やグラス、豪華でしかも昔風の船室の雰囲気といったら。

ナイル川沿いのホテルの様子もまったく素晴らしいの一言。ケネス・ブラナーがいかにこだわりの人かがわかります。

さて、個性的な面々のなかで犯人探しをするというセオリー通りのストーリーのこの映画、まずはポワロとの会話によって1人1人が浮き彫りになって行く趣向。

これはケネス・ブラナーの高い演技力があって初めて成功します。今回のポワロ、オリエント急行のときよりもずっと探偵らしくまた人間らしくなっています。

ガル・ガドット、アーミー・ハマーといった華やかな俳優さんの魅力も手伝って、実に豪華なミステリーが出来上がりました。

それにしても、時代背景はけっこう昔のはずだけど、欧米って豊かだったんですね・・。