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『三度目の殺人』映画のあらすじ&感想

2017年公開。是枝裕和監督。まず、何が三度目なのか、というところで引っかかりました。劇中では殺人は2回しか起きないからです。
三度目の殺人(Amazon Prime)

あらすじ

過去に殺人の前科のある三隅(役所広司)は勤め先の社長を殺した罪で逮捕される。

敏腕弁護士の重盛(福山雅治)は得意の戦術でできるだけ軽い判決にと考える。しかし三隅の供述はころころ変わり、重盛は翻弄される。

そんなある日、殺された社長の娘咲江(広瀬すず)は、三隅は自分のために父を殺してくれた、と申し出てくる・・。

感想

見終わった後の余韻は半端ない。いっしょに見ていた旦那とああでもないこうでもないと議論。

ネットでも解釈の諸説が飛び交う。しかし、それこそが原作者(是枝裕和)の意図では無かったでしょうか。

私にとっての答えは、カナリヤでした。

ネタバレにはならないので安心してください。
三隅(役所広司)は、飼っていたカナリヤを1匹だけ逃がしたと言いました。
カナリヤは映画の画面に一度も出てきません。しかし映画を見た人の脳裏には見えています。

これは映画には出てこない、想像のシーンです。

三隅がカナリヤを手のひらで包み、空に向かって放します。
飛んでいくカナリヤを三隅はいつまでも目で追います。
この想像ができた瞬間に、答えが出ました。

誰がどうして、何のために、なんてどうでもよかったのです。

ただ、三隅はカナリヤを1羽、逃がしたのでした。