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大統領の執事の涙/あらすじ&感想/この涙は重たいです

2013年公開。アメリカの大統領に黒人がなるなんて、ついこの間まで「あり得ないこと」だったんですね。
大統領の執事の涙 (字幕版)

あらすじ

主人公のセシルは農園で奴隷として育った。父親を白人に殺され、農園を飛び出したセシルは盗みに入った家の黒人に救われる。裕福な白人の家で給仕をしながら、白人に使われることの心得を学んでいった。

やがてセシルはワシントン・DCのホテルで、ホワイトハウスの事務主任の目に留まり、執事にならないかと誘いを受ける。

それから、7人もの大統領に使えることになるセシル。その間、上の息子は白人に使える父に反発し、公民権運動(黒人の人種差別開放運動)に身を投じる。下の息子は反対に国のためにベトナム戦争に従軍するが戦死してしまう。

また執事の激務のため3年も家に帰れないことで、セシルの妻は酒浸りの日々となる。さまざまな深い悩みを抱えつつも、セシルは執事の仕事を完璧に努めていくのだった。

やがて世の中が変わり、黒人差別への世間の考え方が変わってくる。老人となったセシルは執事の仕事を辞し、街でデモを先導しているルイスの元へ行く。ようやく息子と和解したセシル。

そして時代は移り変わり、黒人であるオバマがアメリカ大統領に就任した。ホワイトハウスに招かれたセシルは、歩きなれた廊下を、執務室にゆっくり向かうのだった・・。

感想

淡々と描かれた、大統領の執事セシルの日々。実話をもとに着想したフィクションですが、心にぐっと刺さります。

白人に仕えるという仕事を、自分自身を押し殺して勤め上げたセシル。

そんな父を許せない息子の行動に、心が張り裂けそうになっても、セシルは仕事を全うします。しかし職を辞したあと、息子の目を見て、本当の涙を流すのです・・。

セシルを演じたフォレスト・ウィテカーや、妻や執事仲間の黒人俳優さんたちの、ほんとうに演技の上手いこと。

もしかしたら、やはり彼らのルーツが彼ら自身の何かを突き動かしていたのかもしれない、と思いました。

ところで、歴代大統領やその妻を演じた、結構有名な役者さんたち。かなり楽しんで生き生きとやっていました。ハリーポッターに出てたあのひとや、ジェーン・フォンダも。

執事仲間の黒人俳優さんの真剣な演技とは対照的で、そこがまた、真実味あるなあと思いました。