2002年 ドイツ映画。ダニエル・ブリュール主演。コメディと紹介されていますが、とてもハートフルで感動的なドラマです。
あらすじ
東西ドイツ統一前の1989年。夫が西ドイツに亡命した反動で熱烈な社会主義者となった母と暮らすアレックス(ダニエル・ブリュール)。
ある日反政府デモに参加しているところを、ぐうぜん母に見られてしまい、母はショックで心臓発作を起こし意識を失う。
病院に運ばれた母はその後8か月も目覚めなかった。その間に東西ドイツを区切るベルリンの壁は崩壊し、東ドイツの社会主義体制は終わりを告げた。
そしてようやく意識を取り戻した母に、アレックスはほんとうのことを告げることができなかった。姉と話を合わせ、テレビのニュースを偽造したりして、社会主義の崩壊などなかったことを装うのだった。
感想
アレックスが一生懸命母のことを想い、一生懸命嘘をついて装うところはコミカルで笑えますが、そういうことをする彼のやさしさはぐっときます。
母が取っておいた父からの手紙のシーン、そして父との再会のシーンなど、非常に感動的なドラマになっていると思います。
公開当時、ドイツでは記録的なヒットになったとのこと。
もしも日本が分断されていて、双方は全く違う文化を持つ国になってしまったら・・なんて想像できますか。
本当にどれだけの混乱が生じることでしょう。その混乱の様子を可笑しい様子として描写しているのが、ドイツの人たちにとって逆に現実的だと感じられたのかもしれません。
映画のタイトルにもなっている社会主義の象徴であるレーニン像がヘリで運ばれていくシーンは、歴史の無常さを感じさせつつ、しかもくすっと笑えるうまいシーンだと思いました。
また父親役のブルクハスト・クラウスナーはドイツ映画の常連の役者さん。その存在は映画に重量感を与えています。
この映画が私たちに語りかけたかった事。それは、国がどうあろうと、家族にとって大切なものは家の中から見えることだけだということ。
レーニン像がどうなろうと、母は息子の真心に気付き、家族は幸せなのでしょう。