1991年。主演のイレーヌ・ジャコブが異常にきれい。ストーリーよりもベロニカの度を越した美しさと音楽に謎の感動をしたという人も。それわかる気がする。
あらすじ
ポーランドに住むベロニカは、小さな合唱団で歌っていたが、やがてその歌声を認められ大きい舞台に立つチャンスを得る。しかし心臓の弱かった彼女は、演奏会の途中で倒れてそのまま亡くなってしまう。
同じころ、フランスに住むベロニカは、突然喪失感に襲われた。やはり音楽の才能があり、全く同じ容姿を持つベロニカ。
しかし彼女は運命が自然に好転するように選択して生きていた。そしていつも心の中にはもう一人の魂の存在を感じ取っていた。
感想
この映画は難解な映画なのか、それともストーリーよりも雰囲気を楽しむ映画なのか、どうなんだろうと思いながら最後まで観てしまいました。
ベロニカっていったい何だったんだろう。同じ顔と体、才能も性格もよく似ているふたりのベロニカが、それぞれポーランドとフランスに住んでいる。(少しベロニカの綴りと読みが違うようですが)
何を意味するのか考え続けていましたが、実は考えなくてもいいのではないかという結論に。
美しい女性と数奇な運命、美しい音楽。ただそれだけで感動するって悪いことじゃないと思ってしまいました。何を描くかではなく、どう描くかなのかな。
どう楽しむかはこの映画を観ている人が決めること。ただその映画がつまらない映画では決してなく、いざなわれるようにラストまで連れて行ってくれるなら、その時間はいい時間だったと思います。
イレーヌ・ジャコブの美しい表情と深い緋色のマフラーの印象が、燻んだ色の画像のなかで印象に残ります。それだけで何か心揺さぶられる気がするのは、きっとクシシュトフ・キェシロフスキ監督のマジックでしょう。