2020年 アニメ映画の隠れた名作。清原果耶と中川大志がいい演技をしています。
あらすじ
大学で海洋生物学を専攻する恒夫（中川大志）は、メキシコに生息する幻の魚を見るという夢を追いながら、バイトに勤しむ日々を送っていた。
そんなある日、坂道を転げ落ちそうになっていた車椅子の女性ジョゼ（清原果耶）を助ける。幼少時から車椅子で生活してきたジョゼは、ほとんどを家の中で過ごしており、外の世界に強い憧れを抱いていた。
恒夫はジョゼと2人で暮らす祖母チヅから彼女の相手をするバイトを持ち掛けられ、引き受けることに。口が悪いジョゼは恒夫に辛辣に当たるが、そんなジョゼに恒夫は真っ直ぐにぶつかっていく。映画.com
感想
原作は田辺聖子の短編。2003年の実写映画もあります。これら3つは、大学生と足の悪い女性のラブストーリーというところを除いてまったく違う物語と考えていいでしょう。特に原作小説の佇まいは、時代の違いもありますがアニメとはまったく異なっています。
さて、このアニメ版ですが、物語のクライマックスではキュンとして泣きそうになるシーンもあり、落ち込んでいてもそっと背中を押してくれるような、そんなストーリーになっています。
ただ、障がい者の描き方が「そんな簡単なものではない」と言われそうな場面があったり、ラストも「そうなるか？」という展開で、ちょっと雑だったのが残念です。
しかし主役の2人の演技はプロの声優さんかと思うほどいい出来で、これがこの作品の質を高めているのは間違いないでしょう。
私は、有名俳優がアニメの主人公を演じることにいつもは否定的ですが、この作品は逆に長所となっていると感じています。
サガンの小説の主人公からとったというジョゼという名前からくる優美な雰囲気を、清原果耶という人から連想できるのは強みでした。
それにしても、この1つの短編がなぜ映画やアニメになり、これほど注目を集めるのか。
それは、「ジョゼ」という言葉の響きがここちよいことに尽きるのかもしれません。
カタカナのジョゼ。広がりのある美しい響きです。
「ジョゼと・・」何だろうと一瞬思う、その瞬間に癒しが存在します。何か優しいものがこの世界に広がっているような・・
つまり、題名で大いに得をしていると言えるのではと思います。
