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SF

『DUNE/デューン 砂の惑星』映画のあらすじと感想/ティモシー・シャラメの繊細な美しさ

2021年 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。ティモシー・シャラメ主演。原作は1965年に発表された壮大なSF小説。1984年のデビッド・リンチ版との比較も一興。

あらすじ

人類が地球以外の惑星に移住し、宇宙帝国を築いていた西暦1万190年、1つの惑星を1つの大領家が治める厳格な身分制度が敷かれる中、レト・アトレイデス公爵(オスカー・アイザック)は通称デューンと呼ばれる砂漠の惑星アラキスを治めることになった。

アラキスは抗老化作用を持つ香料メランジの唯一の生産地であるため、アトレイデス家に莫大な利益をもたらすはずだった。

しかし、デューンに乗り込んだレト公爵を待っていたのはメランジの採掘権を持つハルコンネン家と皇帝が結託した陰謀だった。やがてレト公爵は殺され、妻のジェシカと息子のポール(ティモシー・シャラメ)も命を狙われることなる。映画.com

感想

長いとか退屈とかいろいろ言われていますが、私はそういう噂はまったく気にすることなく、わくわくして見に行きました。

デューンを今の時代に映画化して失敗するわけがない。しかもあのヴィルヌーヴ監督が。

もちろんその予感は当たり、壮大な叙事詩は私の思い描いていた通りに迫力たっぷりに映像化されていました。ティモシー・シャラメも素晴らしい。錚々たる俳優さんたちもみな生き生きと演じています。

例えばクラシックの名曲を聴いても眠たい人がいる、名画を見ても特に何も思わないことも。芸術とはそういうものだと私は思っています。良いという人もいれば、そうでない人もいるものです。

不満に思うことがあるとすれば、実に壮大なハンス・ジマーの音楽。ドーンとお腹に響く重低音。それはとてもいいのですが・・ティモシー・シャラメの繊細な雰囲気に合っていない気がします。

迷える皇子の演技は絶賛されているのですが、あまりにも美しく、かつ彼の独特の世界がそこにあり、それはあの無国籍風のしかもずっと盛り上がっている曲に、何とも合わないなと思いました。

音楽って大事です。無論これは言うまでもないことです。あれだけ緻密に演出され作りこまれた作品の、大切な最後の仕上げともいえる、映画音楽。

これは例えば「ベニスに死す」なら映画を格調高く美しくするのに一役買っていたけれど、DUNEではどうでしょう。

・・ひょっとしたら、それも好き好きかもしれません。芸術とはそういうものですから。