2009年 低予算ながら、見ごたえある映画。風刺も効いていて、展開も飽きさせない。グロいけれど癖になりそうな作品です。
あらすじ
1982年、南アフリカ・ヨハネスブルク上空に巨大なUFOが出現した。何も動きが無いため、調査隊が向い、中に踏み入ったところ、
支配層のエイリアンが死滅し、労働者層のエイリアンが大量に見つかった。
彼らを地上におろし、第9地区に隔離するが、知能が高くない集団のため、暴力的な面もあるが、ひどく抵抗もせずに従っていた。
28年後、エイリアンたちはその外見から「エビ」と呼ばれ人間に蔑まれていた。あちこちで人間との小競り合いも頻発していた。
ただ彼らは高度な武器を所有しながら使うことは無く、チェニジア人の武器証人たちに好物のキャットフード缶
と引き換えに売っていた。
さらに彼らは、繁殖力が非常に強く、第9地区の中ではおさまりきらなくなってきた。超国家機関MNUのヴィカスはエイリアンたちを
第10地区に移住させる責任者となり、隔離地区でのなかば強制的な立ち退きを行うのだった。
ヴィカスはクリストファーと呼ばれている知能の高いエイリアンの小屋を訪れるが、そこには高い技術と思われる機器が内部を覆っていた。
調べようとするヴィカスは誤って黒い何かの液体を浴びてしまう。
その後ヴィカスの体には変異が起きてくる。気がつくと片腕がエイリアンのような異形になっていた・・。
感想
いろんな人にインタビューして、その動画やニュース映像で説明していく、という「羅生門スタイル」でテンポよく展開する映画の導入部分。
ここは実にうまくて、観客を引き込むのに成功しています。よく考えてみるとストーリーは単純なのですが、差別、友情、男女の愛という
さまざまなテーマが織り込まれていて、しかもエイリアンではなく人間のほうを悪役に据えているところが何とも新しいです。
最後の最後までインタビュー動画で行くのかな、と思いきやそれは無理だったようで、監視カメラ画像みたいなのを入れながら、
視点はいつのまにか観客の視点になりましたが、そんなことより「どうなるの?」という思いでそれはどうでもよくなりました。
友情と男女の愛を否定しない終わり方になっていることがなんとなく救い。安い材料で美味しいおかずができたときのような、
低予算でも見ごたえある作品ができたといういい例ですね。
しかも主役のヴィカス役のシャールト・コプリーのセリフはすべてアドリブなんだそうな。なるほどそれで臨場感が出たのか。すごいです。
映画好きとしてはこういう作品を発掘するのも楽しみの一つです。