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『グエムル-漢江の怪物-』映画のあらすじ&感想

2006年 ポン・ジュノ監督。韓国には怪獣映画の歴史が無いにもかかわらず、観客動員数1300万人を突破しました。

あらすじ

漢江の畔でお土産屋を営むソン一家。カンドゥ(ソン・ガンホ)はいつものようにうたた寝をしながら店番をし、客のスルメいかをつまみ食いしていた。

そのとき漢江にかかる橋に奇妙な生き物が居るのを人々が見つけた。グエムル(怪物)は突然速い動きで身をひるがえし、人々に襲い掛かる。そして大きな口を開けて捕食していった。

河岸は大騒ぎとなり、逃げ惑う人々。そしてカンドゥの娘のヒョンソが怪物のしっぽに巻かれ水の中にさらわれる。

カンドゥは怪物の血を浴びたことで感染症の可能性があるとして隔離されてしまった。しかし翌日カンドゥの携帯にヒョンソから着信が。「深い下水溝のようなところにいる。お父さん助けて・・」と言って切れた・・。

感想

いろいろ突っ込みどころはあるにしても、それにしてもこの映画は相当面白いです。最後の10分までノンストップで進んでいく。

グエムルが河畔の人々を襲うシーンのカメラワークの凄さ。グエムルが階段を斜めに駆け下りてくる、そのスピードとグエムルのCGの完成度の高さ。ソン・ガンホの体を張った演技。

ヒョンソがしっぽに巻かれてさらわれる瞬間のあざやかなこと。随所に韓国の社会問題も散りばめながら、裕福ではない庶民が正体不明の怪物に戦いを挑む、ストーリーは簡潔でいながら、たくさんのメッセージを秘めています。

ほんとうに最後の10分。物語が力尽きるように終わるのですが、当時はまだジュノ監督は若く体力不足だったのかもしれません。映画を見事に完結させるにはスタミナが必要です。それは、お金とか時間とか技術とか熱意とか。

けれどもこの映画、その後世界中から絶賛される監督になるであろうという予兆は十分にありました。


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