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『ノマドランド』映画のあらすじ&感想:人は自分で選んだ自分の生き方をすればいいのだ

2021年 アカデミー作品賞、クロエ・ジャオが監督賞、フランシス・マクドーマンドが主演女優賞を受賞。なぜそれほどまでに絶賛されたのでしょうか。

あらすじ

ネバダ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファーンは、リーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失ってしまう。キャンピングカーに全てを詰め込んだ彼女は、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送ることに。

毎日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ね、誇りを持って自由を生きる彼女の旅は続いていく・・。引用元: 映画.com

感想

富裕層と貧困層の格差。このことへの具体的な解決策がここにあるのではないかと人々が関心を持った「ノマドランド」。

放浪者としての暮らしを選んだ高齢者の人たちはいったい何をそこに求めたのでしょうか。

格差とは何か。お金があると無いの違い。では、お金が無くとも生きがいや幸せを感じることができるのなら、その生活を選ぼうと考えた。

それがノマド(放浪者)として生きる人たちの心情だろう。と、そう思って映画館に行きました。

さて、答えは。そう単純なものではありませんでした。高齢と言える人々が男性も女性も一人で大きなバンに乗って広いアメリカを旅し、季節労働者としての収入で暮らす。

そこには「死」もあり、安住の家に戻る人もあり。さまざまなトラブルもあり。そして友情もあり。

かんたんにやろうと思っても真似のできる生活ではありません。毎日キャンプファイヤーをしているような、そんな生活ではない。過酷な暮らしです。

だけど、彼らは自分の意思で生きていた。たとえば重い病気になっても「死」さえも待つのではなく、自分で選択をする人もいた。

ほとんどの出演者が実際にノマドとして生活している人だというこの映画。生きるということは、自分で選択して生きることなのだということ、当たり前のことだけど、知らなかったかもしれない。

自分の足で、自分らしく生きる。

格差とか、そんな煩わしく小さなことなどもう関係ない。人間は工場で選別される小さな部品ではないのだ。

ひとりひとり、人は自分で選んだ自分の生き方をすればいいのだ。

当たり前のことだけど、やっと教えてもらった気がします。それがノマドランドです。