あのとき見逃した映画は名作だったかもしれない
新旧の映画の中から
名作を掘り起こすレビューサイト
実話

『ビリーブ 未来への大逆転』映画のあらすじ&感想

2018年 ミミ・レダー監督 フェリシティ・ジョーンズ主演 アメリカ合衆国の連邦最高裁判事を27年間にわたって務めた実在の人物の若い時代を描いています。

あらすじ

のちにアメリカで最高裁判事を務めることとなるルース・ギンズバーグは、貧しいユダヤ人家庭に生まれ、努力の末に名門ハーバード法科大学院に入学する。

夫マーティの協力のもと彼女は大学院を首席で卒業するが、女性であることを理由にルースを雇い入れる法律事務所はどこにもなかった。やむなく大学教授となったルースは、男女平等の講義に力を入れながらも、弁護士への夢を捨てきれずにいた。

やがてある訴訟記録を目にし、それが歴史を変える裁判になると信じたルースは自ら弁護を買って出るが…。引用元: 映画.com

感想

性差別の撤廃などで知られたリベラル派の女性判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグ。彼女が2020年に亡くなったあと、トランプ政権が保守派の判事を指名した一件では大きな話題となりました。

そんな大きな人物の話を映画化するということは、演じるにあたっても、ストーリーにしてもかなりの制約があったことは想像できます。

また、「ローグ・ワン」や「彼女と博士のセオリー」で芯の強い女性を巧みに演じていたフェリシティ・ジョーンズでしたが、この映画ではあまり彼女らしさが出ていなかったのではないかと感じました。

はっきり言うと映画全体が迫力不足。せっかくの題材でしたが、実在のご本人が大きすぎて、なかなかとびぬけたことができなかった印象。

着地点がわかっているストーリーの中で、それでも困難な道を歩む姿をそれなりに惹きつけてくれたフェリシティはさすがと思いましたが、

ただ映画全体としては、「きれいにまとめている」と言うだけの感想になってしまいます。

今、女性の地位は向上していますが、そこに至るまでのさまざまな道のりは、とうてい2~3時間で語られることではないでしょう。

ですがそれにしても、行程の困難さに現実味が無い。おとぎ話が語られているような印象を受けます。

そういった「迫力不足」は、オープニングのハーバードの男子学生たちの歩くシーンにも現れていて、

いやとても素晴らしいシーンなのです。たぶんいちばん凝ったシーンなのですが、どことなく不協和音を感じたのです。いいシーン過ぎるのです。

つまり、その段階でフィナーレもわかってしまうような気がしてしまった。それは実話映画化の難しさによるものだな、とあとから感じています。