2017年 クリストファー・ノーラン監督。迫力ある映像と緊迫したストーリー展開。映画としてとても上質です。
ダンケルク(字幕版)
あらすじ
第二次大戦中、ポーランドに侵攻し北フランスにまで勢力を広げたドイツ軍は、戦車や航空機などの新兵器を用い、英仏連合軍をフランス北部のダンケルクへと追い詰めて行く。
事態に危機感を抱いたイギリス首相のチャーチルは、ダンケルクの街や海岸に取り残された兵士40万人の救出を命じた。
1940年5月26日、軍艦が足りない状況で民間の船舶も動員したダイナモ作戦が発動され、この作戦はのちに大戦の戦局に大きく影響することになる。
感想
ただ一つ、この映画の設計図をちゃんと理解せずに見てしまうと、「あれ、ここはどこ、なんで夜なの?」みたいに置き去りにされます。
ダンケルクの浜辺の1週間、民間人の船の1日、戦闘機の1時間の3つの視点をうまく交互に挿入して、そうしてある1点でようやく重なります。
すごい脚本。場面のすべてにスキが無い。
戦争の恐ろしさを描いた反戦映画・・であることは間違いないですが、その前に、ほんとうに優れた人間ドラマであります。
ここで監督が何を描きたいのかをふと考えたのですが、もちろん戦争というものの恐ろしさ・虚しさはもちろんのこと、そういう大きなものと同時に、人間ひとりひとりの命というものが何なのかというテーマも浮きあがってきます。
ひとりの人間が、なんとしてでも生きるための行動をする。命というものの重さ。そして軽さ。
悲惨な戦争のなかで、切り取られたさまざまの物語は、私たちにさまざまなことを感じ取るように訴えかけてきます。「ほら、ぼーっとしてないで何かを感じてごらん」という、監督の声が聞こえてきそうです。
劇場で2回、自宅で1回鑑賞。何度観ても見ごたえのある作品だと思いました。