2018年 世界20か国で配給、数々の映画賞も受賞しました。カンヌ映画祭での題は「AsakoⅠ&Ⅱ」 つまり、朝子の映画なのです。
あらすじ
展覧会で前を歩いていただけの男・麦(バク)になぜか心惹かれた朝子。そして麦に突然キスをされ、ふたりは恋人同士になる。深く愛し合ったふたりだったが、常識にとらわれない麦はあるときふっと姿を消してしまった。
3年後、カフェで働く朝子の前に、麦にそっくりな男性・亮平が現れる。最初は戸惑いながらもまっすぐな性格の亮平のことを朝子は好きになり始めた。
それから5年。すでにいっしょに暮らしている2人は、結婚の約束を交わす。しかしそんなとき、ぐうぜん麦と再会してしまうのだった・・。
感想
昔の相手と今の相手が同じ顔だという冗談みたいなことは起きないにしても、同じようなタイプの人とつきあっちゃうというのは、よくある話です。
また、昔の恋人と再会するというイベントそのものが、とてつもない大事件ですよね。
朝子のように思い切った行動に出ないにしても、今の生活に波風が立ってしまうことは必定です。
純然たる恋愛映画がこのところ少ない中で、真っ向から日本女性の秘められた心のうちをテーマにしたこの作品。
世界でも注目され、ロッテントマトでは75%を獲得したこの「寝ても覚めても」ですが、主人公たちの不倫が大騒ぎになったおかげで、作品を見る目が変わってしまわないかと心配です。
2役に挑戦した東出昌大さんは、「セリフが棒読み」ながら、2人の異なった性格をなんとか演じ分けていました。
唐田えりかさんについては、ソニー損保のCMの時から「なんて個性のない人だ」と逆に気になっていました。
ようやくメジャーな仕事を得て、演技はまだまったく未熟だけど、何を考えているかわからない女性をよく体現しているように見えました。こういう人が心の奥には深い情念を隠しているのかと思うと、男性は怖さを感じるのかもしれません。
ネタバレしてます!感想
タイトルの「寝ても覚めても」は、朝子が車の中で寝てしまい、そして目を覚ますシーンに由来しています。
朝子は麦と再会し、その場で亮平を捨てて逃げる。
初めは「逢いたかった」と情熱的になっているが、車の中で寝てしまい覚めてみると、ふと気づく。「麦はもう本当の相手ではない」ことに。
突発的な逃避行はいかにも作ったような話ですが、でも眠っていて夢の覚め際にホントの心に気づくことって、ありませんか? 人生の大事なことを眠りから覚める際(きわ)のところで決定するようなこと。
夢から覚めて、隣にいる人を「この人は違う」と感じる。これはこの映画の最も大事なシーンです。残念ながら女優さんがヘタすぎてなのか何も伝わりませんが、演出でもっとうまく表現すべきではなかったでしょうか。
このシーンが生きると死ぬのとで、映画全体が変わってくる、たいせつな場面ではなかったかと思います。。