2022年 スティーブン・スピルバーグ監督。スピルバーグ自身の自伝的作品。子供時代の体験がもとになっています。
あらすじ
初めて映画館を訪れて以来、映画に夢中になった少年サミー・フェイブルマン(ガブリエル・ラベル)は、母親(ミシェル・ウイリアムズ)から8ミリカメラをプレゼントされる。
家族や仲間たちと過ごす日々のなか、人生の一瞬一瞬を探求し、夢を追い求めていくサミー。母親はそんな彼の夢を支えてくれるが、父親(ポール・ダノ)はその夢を単なる趣味としか見なさない。サミーはそんな両親の間で葛藤しながら、さまざまな人々との出会いを通じて成長していく。映画com.
感想
この映画がどのように心にはまるか。またはまらないかは、スピルバーグに対する思い入れのあるなしでまったく変わることでしょう。
「激突!」「ジョーズ」を知り、「未知との遭遇」に心わくわくした世代の人ならば、巨匠スピルバーグがどのように映像への思いを強くしたのか、さらに映画を撮ろうという夢をどう抱くようになったのかに、少なからず興味を抱くことでしょう。
早撮りでも知られるスピルバーグ監督。また監督のみならず製作総指揮でも無数に作品にかかわっており、毎年毎年、スピルバーグ関連の映画が公開されなかった年は無いのがこの50年ほど続いています。
しかもその作品はすべて、根底に人への優しさがある。50年間の彼の実績を知る人なら、その作品たちに対して悪しきイメージを抱いている人は少ないのではないかと思われます。
そういうスピルバーグ派の人であるか、もしくは最近スピルバーグを知った人なのかによって、このフェイブルマンズの評価がまったく別れてしまうことは間違いないでしょう。
要するに、まずはスピルバーグへの興味と知識ありき。そういう人が見れば、ラストシーンまでの1つ1つがすべてグッとくるに違いないのですが、
そうでもない人が見た場合、「ふーん」というぐらいの反応になるのではないかと思われます。
これを書いている私自身は、もちろん前者。ここ50年をすべて知っています。刑事コロンボから知っています。
ということは、当然この作品は終始「グッと」きっぱなし。終盤、巨匠デビット・リンチが演じたジョン・フォード監督に出会うシーンも、フォード監督曰くの「地平線は上か下に」を実践したラストカットも。
主人公サミーの苦悩も喜びも、すべてがあの作品たちにつながるのだという思いが、終始あふれてくるような、そんな2時間半でした。
結論、この映画はそういう意味で、見る人を選ぶかもしれない作品なのだと思います。