1999年 ニール・ジョーダン監督。原作はグレアム・グリーンの実体験に基づいた小説「情事の終わり」 レイフ・ファインズの瞳が本当にきれい。ジュリアン・ムーアとのラブシーンも美しい。
あらすじ
1946年、ロンドン。小説家のモーリス・ベンドリックス(レイフ・ファインズ)は、二年ぶりに友人のヘンリー・マイルズ(スティーヴン・レイ)、そして彼の妻サラ(ジュリアン・ムーア)と再会する。
実はベンドリックスとサラは、戦時中不倫の愛に身を焦がした仲だった。ヘンリーは現在、サラが浮気しているのではないかと苦悩している。その相手が気になったベンドリックスは、ヘンリーに内緒で、サラの素行調査を探偵に依頼する。
まもなく、探偵事務所のパーキス(イアン・ハート)の調べにより、サラには浮気相手”第三の男“がいるらしいと分かる。映画com.
感想
ひとの情事を終始見せつけられた感もあった作品でしたが、美しい男女の画だったのでそれはそれでまあいいでしょう。
原作者のグリアム・グリーンの実体験に基づく小説の映画化です。実際には20年もつづいた不倫だとか。この映画のように綺麗な話では無かったことは想像つきます。
モーリス(つまり原作者グリーン)の視点で描かれており、すべては自分寄りの解釈で展開していき、サラの心情が吐露された日記の中身もモーリスに都合の良い文面になっているところは、ちょっと引っかかるところ。
たとえばサラは「夫と二人でそれぞれのベッドに墓標のように寝ている」と日記に書いている。それはサラから見た夫婦の関係を断片的に伝えている。だけど夫はどんな気持ちなのだろう。
この場面には出てこないが、夫は妻の不倫を知っていて、関係が冷え切っているとはいえ、横に寝ている妻を見て墓標のようではいられまい。引き裂かれるような、灼熱地獄のような思いだったに違いない。でもそこは曖昧にスルーしています。
三角関係を描いた原作であるはずなのに、ミステリー仕立てにしようとしたことで、人物たちそれぞれの内面をそれほどえぐることなく結末に至ったという印象は否めません。
もう少し深く、3人の心情を細やかに描き出せなかったか。宗教観も絡まるのでたいへん難解な脚本になったかもしれないですが。
そんな中で、夫役のスティーブン・レイはセリフの向こう側の夫の想いを、うまく表情に醸し出す演技をしていたと思います。彼の複雑な表情は映画に重みを足す役割を担っていました。
ただ、時代考証はちゃんとしていて、1940年代のイギリスの街並みやファッションはとてもいいという評価のようです。
帽子の使い方がすごく良かったなと、私は思いました。帽子をかぶった瞬間の俳優さんの決め顔が好き。
それにしてもレイフ・ファインズ、なんと美青年だったことでしょう。後ろ姿や動きは変わりませんが、眼差しは全く別人。ジュリアン・ムーアも魅力的。
ただそのことだけで映画1本作ろうというのは甘すぎましたね。