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『恐竜が教えてくれたこと』/映画のあらすじ&感想

2019年 オランダ。児童文学の「ぼくとテスの秘密の七日間」の映画化です。恐竜は、出てこないです。

あらすじ

11歳のサムは、この世の全ての生き物がいつか死を迎えると気づいた時に「地球最後の恐竜は、自分が最後だということを知っていたのか」と思い悩むような、哲学的な少年だった。

そんなサムが、家族で過ごす夏のバカンスのため、都会の喧騒から離れたオランダ北部の島にやってくる。そこでテスという少女と出会ったサムは、彼女の快活な魅力にひかれていく。

テスは母親とふたり暮らしで、12年間生き別れたままの父親がいるという。テスが抱く父親に対する思いを知ったサムは、彼女が父親に会うために考えた、ある作戦に協力することになるが……。映画.com

感想

オランダ語の深みのある響き、踏み荒らされていない美しい島、大人には理解できない少年と少女の細やかな感情。

ハリウッド映画で見慣れた決まりきった表現ではなく、ヨーロッパの映画はやはり新鮮に思えます。

恐竜の話がそれほど出てこないのがちょっと残念でしたが、リゾート地での短い間の出来事にドキドキする要素もちゃんとあってとても面白い作品でした。

それに加えて主役の11~12歳の役者さんたちが上手くてみずみずしくて、ほんとうに素晴らしいです。

最近ハリウッド以外の映画を観ることが多くなりました。起承転結だけでなく、すべてが公式に当てはめられたようなハリウッド映画にちょっと飽きてきています。

そんなときにヨーロッパの映画を観ると、舞台となる街はアメリカよりもずっと何もない風景で、海と家しかない、というような言葉にすると殺風景なのですが、映画として暖かいものが根底にあるのを感じることができます。

それらは恐らく、大都市の人々が失いつつある、作り手の映画への「愛」だと思いました。