2008年公開。結婚した娘が子供の頃、「この小説良いよ」と言って貸してくれた本がこれでした。でもこれ、映画のほうがいいです。
あらすじ
まいはお母さんの車でおばあちゃんのもとに走っていた。「おばあちゃんが危篤」という知らせが入ったのだ。
まいは中学に入ったばかりの2年前、学校の友達となじめず不登校となった。それからおばあちゃんの住む家で、しばらく2人で暮らしたのだった。
まいの頭の中に、あの頃のことが蘇ってきた。ひとつの後悔とともに。
おばあちゃんはイギリス人で、日本人のおじいちゃんが亡くなった後、1人で暮らしていた。イングリッシュガーデンのような庭のある田舎の山里で、四季折々の野菜を育て、自給自足をしていたおばあちゃんは、いつもにこやかに笑い、すてきなエプロンにスカーフをしていた。
小さいころからまいはそんなおばあちゃんに「大好き」と言ってハグするのが習慣だった。
おばあちゃんは「実は私は魔女なのよ。ほんの少しの予知能力があるだけだけど」とまいに告白。「まいも魔女になりたい」とその日から魔女になる特訓が始まった。
それは早起きをして掃除洗濯、勉強をする、というだけものだったが、そんな生活はまいにとって新鮮で楽しいものだった・・。
感想
意外に良い、意外に。というのがほんとの正直な感想です。娘から本を借りて読んだ時には、「ああなるほど、いい話だな」とは思いましたが、映像化してこんなに良くなるとは思いませんでした。ほとんどの作品はその逆ですので。
エンディングに流れる曲までもよかった。手嶌葵の「虹」。これは他の今までの映画作品の彼女の歌の中で一番良いかもしれないとさえ思いました。
田舎で広い庭を所有し、四季の植物を育て、手作りのパンでこんがりしたトーストを焼く、生みたてタマゴのオムレツを食べる、一面のワイルドストロベリーを摘んでジャムにする、というイギリスの田舎のような生活。これって、世界一贅沢な暮らしです。
学校という狭い空間で人間関係に疲れたまいは、魔女修行という人間らしい暮らしをすることで、疲れた心をすっかりリフレッシュすることができました。こんな環境に置かれたら、誰でも元気になれそうです。
しかしただ1つの後悔を残してまいはここを去り、新しい学校での生活をするようになります。1つの後悔とはあることでおばあちゃんと喧嘩をしたままになったこと。親しい間柄であればあるほど、人は素直になれないものですよね。
そして、これはもっとも重要なこと。日本児童文学者協会新人賞のこの小説は、現代の学校における人間関係問題は、魔女にたのむか、自分で解決するぐらいしか方法が無いのだということを、遠まわしに私たちに説いているのです。