2004年 クリント・イーストウッド監督 アカデミー作品賞・監督賞受賞。ヒラリー・スワンクは主演女優賞を受賞しました。
あらすじ
貧しい家で育ち、死んだ父親以外の家族から愛情を受けていなかった孤独な女性マギー(ヒラリー・スワンク)。プロボクサーとしての成功を目指し、ジムを経営するフランキー・ダン(クリント・イーストウッド)のもとにやってきた。
過去にチャンピオンを何人も育てたダンだが、マギーがトレーナーになって欲しいと頼んでも、「女はお断りだ」と最初は拒絶する。しかし旧友でもとボクサーのエディ(モーガン・フリーマン)はマギーの素質を見抜き、フランキーを説得する。
最初は気が進まないフランキーだったが、ボクシングに真摯に取り組み力をつけていくマギーにフランキーもだんだん真剣になっていく。そして連勝をかさねていくマギー。
賞金をためて母親に家を購入したが、逆に迷惑がられてしまうのを見てフランキーは慰めの言葉をかける。フランキー自身も過去に自分の娘と何かの出来事で音信不通となっていた。そうしてフランキーとマギーは子弟を超えた、親子のような愛情で結ばれていくのだった・・。
感想
とちゅうまではよくできたボクシング成功物語かな、と思っていましたが、最後の1/3のところで話が大きく展開します。
そしてそのあとの結末をめぐって、さまざまな立場の人たちによって大論争となりました。
それでもこの映画はアカデミー作品賞・監督賞を受賞します。よくこの作品を選んだなあ、とアカデミーの人たちの勇気に感心します。
確かによくできている、崇高な映画なのですが、いったいこの結末はどう考えたらいいのでしょう・・。イーストウッド監督が私たちに投げかけたかったことは、それは非常に重い重いことで、簡単に受け止められることではありません。考えれば考えるほど、ちょっと怖くなってきます。
ここからネタバレ
マギーはタイトルマッチで相手の反則行為で頸椎を痛め、首から下が一生動かない状態になってしまいます。フランキーは最善を尽くし、なんとか回復をと願うのですが、マギーはフランキーに「呼吸器をはずしてほしい」と頼みます。
スポーツの映画だと思っていたのが、クライマックスで「尊厳死」を扱った展開になり、ほんとうにびっくりして、どうしていいかわからないまま、映画は静かに終わります。画面が暗転し、曲が流れる中、2人が仲良く立ち寄って食べたレモンパイの店のシーンが脳裏に浮かんでいました・・。
私自身が映画を見る意味は、日常の生活から少しの間逃避して、精神的にリラックスをすることにあります。この映画のように心が重たくなる作品は、よほど元気な時で無いと受け止めきれないように思います。