60年代の描き方がリアル。そして迫力あるロケット打ち上げシーンに圧倒されました。
2018年 デイミアン・チャゼル監督。ライアン・コズリング主演。ニール・アームストロングがアポロ11号で月に向かい、月面を歩いた最初の人となるまでを描きました。
あらすじ
1961年から始まったアメリカの有人宇宙飛行の計画。ニールは長女を脳腫瘍で失い失意の中で、宇宙飛行士に応募する。海軍では経験豊富で冷静なパイロットだったニールは飛行士に採用される。
しかし、アメリカのミッションは次々に失敗し、ソビエト(ロシア)に大きく差をつけられていた。ニールの同僚の飛行士も非業の死を遂げていく。妻のジャネットはニールを理解しながらも、心の中では落ち着くことができないでいた。
ようやくアポロ計画が動き出し、成功を収めていく。そして、ニールは月着陸船を搭載したアポロ11号の船長として飛び立つことになる・・。
感想
デミアン監督の前作「ラ・ラ・ランド」とはまったく違った作品となったファースト・マン。迫力ある映像と音響で、宇宙船が飛び立つところや、不測の事態のシーンは見ているだけなのに、酔ってしまいそうにリアルです。
音楽も実に素晴らしく、60年代に行って帰ってきたような気になります。
ライアン・コズリングはあまり器用な役者さんではないのかなと思っていましたが、この人の芸風はこうなんですね。さりげなく溶け込む。容姿がいいので演技で主張する必要が無いとも言えます。この作品ではうまくいっていると思います。
それにしても共演の俳優さんたち、全員上手い。熱量が高い。中でも奥さん役のクレア・フォイは凄い迫力で、後ずさりしてしまいそう。
アポロ計画はソビエトに対抗するため、アメリカの威信をかけて進められました。そして多くの犠牲を払って、月に着陸することができました。
ニール・アームストロングは月に娘の形見のブレスレットを残し、実はここに来る目的がこれだったというように安らかな表情を見せます。この場面が事実かどうかはわかりませんが、ニールさんが無事に月へ行って帰って来たのは、亡くなった娘さんの魂のおかげかもしれない。そんな気がしてくるいいシーンです。
「月にアメリカ国旗を立てたシーンが無い」、とクレームが出たそうですが、わかってないですね。国旗はちゃんと立ててあるシーンがあります。立てる瞬間のシーンではなく、引きの映像で映すほうが、「あ、あるある国旗っ」と思って身を乗り出したぐらいだから、よっぽど効果的なんです。
そして月にようやく着いたと思ったとき、本当に感動したんです。最初のボロボロの宇宙船の時代から、進歩してこんな凄いことができるなんて、と。何かを成し遂げる映画は達成感があります。