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『ロブスター』映画のあらすじ&感想:ヨルゴス・アンティモス監督の描く不条理だけどなんかクセになりそうな世界

2015年 ヨルゴス・ランティモス監督。第68回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。独身者はパートナーを見つけられないと動物に変えられる近未来。主人公が変えられたいと希望した動物がロブスターでした。なんて不条理な世界。だけどこれ、きっとクセになる人が続出したと思います。

あらすじ

独身者は身柄を確保されてホテルに送り込まれ、そこで45日以内にパートナーを見つけなければ、動物に変えられて森に放たれるという近未来。

妻に捨てられ独り身のデビッド(コリン・ファレル)もホテルへと送られるが、そこで狂気の日常を目の当たりにし、ほどなくして独り者たちが隠れ住む森へと逃げ出す。

デビッドはそこで恋に落ちるが、それは独り者たちのルールに違反する行為だった。

感想

風刺、風刺、風刺

設定は何もかもブラックユーモア。繰り返される風刺。しかし物語は大真面目に淡々と進行するので不条理な世界でもすんなり受け入れられる。時折くすっと笑える場面も。このあたりはほんとうにうまいです。

主人公はすでにロブスターのよう

ロブスターは単独で穴を掘って生活し、目はほとんど見えません。脱皮によって内臓も入れ替わるので寿命が長いとされています。脱皮の失敗や天敵に会わなければ100年以上生きることも。

さらに、痛みを感じる生物であると判明してから、イギリスでは生きたまま茹でることを禁止しています。

孤独なデビッドは、すでにロブスターみたいだと思いました。服装も青系だし。

結末を観客に投げまくり

あらゆるエピソードが、結末を明らかにしないままです。細かく見ていくと、ほんとうにあらゆる場面が疑えば疑えるという、これはものすごく練った脚本だと感心します。
何度か繰り返し見て、違う推理をするのも面白い。たとえば、デビッドはほんとうは男性も好きかも、とか。

エンドロールの波の音

エンドロールで波の音が聞こえてきます。デビッドはロブスターになったと解釈するか、もしくは「人もロブスターも同じだ」というメッセージか、いずれにしても最後の最後まですべてを観客に投げています。

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