2022年 監督:サラ・ポーリー 出演:ルーニー・マーラ、クレア・フォイ、ジェシー・バックリー他 キリスト教の一派・メノナイトに属するコミュニティで起きた実際の事件。それをもとに書かれたベストセラー小説の映画化です。
あらすじ
2010年、自給自足で生活するキリスト教一派のとある村で、女たちがたびたびレイプされる。
男たちには、それは「悪魔の仕業」「作り話」だと言われ、レイプを否定されてきた。やがて女たちは、それが悪魔の仕業や作り話などではなく、実際に犯罪だったということを知る。
男たちが街へと出かけて不在にしている2日間、女たちは自らの未来を懸けた話し合いを行う。映画com.
少しネタバレ感想
この物語にどこまで感化できるかあるいは理解できるかと言われると、あまりピンと来ないかもしれない。なぜなら私はコミュニティにもいないし自由にどこにでも行けると思っているから。
だけどこの映画に出てくる彼女たちと、自由であるはずのコミュニティの外の私たち。そんなに大きな違いはないのかも。
(自由と言いながら何十年も同じ町に住み、同じ仕事をしてるもんね・・)
映画の中の彼女たちは納屋でさまざまな本音をぶちまける。抑えた色調の美しい画の中で、ともすれば退屈な場面になるかもしれない会話劇だが、俳優たちの演技がそうさせません。
この作品、かなり評価が高く、特に脚本が良いとされています。しかし、この映画の評価を押し上げたのは、脚本だけではない。それは俳優たちのレベルの高い演技によるものに他ならないと私は思います。
会話劇をおもしろくするものは脚本だけではない。その脚本を深く掘り下げた、俳優たちの異次元の演技あればこそです。特に際立ったのはクレア・フォイ、ベン・ウィショーの演技。
そうしておぜん立ては整い、もったいつけるようにラストシーンへ。
誰もがここで留飲を下げるような、すっきりする終わり。
それは、延々と続く馬車の列。2000年とは思えない服装の女性たちと、古めかしい持ち物や動物たちを乗せた長い長い列がどこまでも続いていく・・。
このラストは会話だけの劇を締めくくる感動的なシーンでした。それまでの俳優さんたちの演技がここで、生きたのです。