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インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌/あらすじ&感想

2013年 コーエン兄弟監督・脚本。オスカー・アイザック主演。曲はすべて生演奏だそうで、とてもレベルが高いです。




あらすじ

ルーウィン・デイヴィスはグリニッジ・ヴィレッジで売れないフォーク歌手をしていた。生活は苦しく、友達の家のソファーで寝泊まりしている。

音楽パートナーだったマイクが自殺してしまった後、ソロアルバム『Inside Llewyn Davis』を出したが全く売れなかった。

女友達のジーン(キャリー・マリガン)から、「子供ができたから中絶費用を」と迫られたり、また別の友人から預かった猫が逃げ出してしまい、ようやく探し出した猫を連れて地下鉄に乗ったり。

レコーディングに誘われても、ソロでやることにこだわり断ってしまう。シカゴで一旗揚げようと猫を連れて旅立つが道中もろくなことが無い。

ようやく着いた店で歌を披露すると、「金の匂いがしない」と言われてしまう。

それでもルーウィン・デイヴィスは「運が悪い」ぐらいの感じで腐ることなく、ちょっとした問題をあちこちで起こしながらもなんとか生きていた・・。

感想

この映画は、いろいろな問題を起こしたり、難題が降りかかったりするルーウィン・デイヴィスのとある1週間を描いています。

オスカー・アイザックはジュリアード音楽院を卒業しており、生演奏の弾き語りは「プロじゃないの?」というレベルのものでした。

ジャスティン・ティンバーレイク(この人は当然ですが)とマリー・キャリガンも素晴らしい。「500マイル」はとても聞きごたえがあります。

生演奏にこだわった映画は他にもありますが、この映画に出てくる60年代初頭の演奏者の雰囲気がなんだかとっても良いのです。

まだボブ・ディランを筆頭にしたフォークブームが起きる直前の、古いアメリカの匂い。

もちろん嗅いだことも無いけど、入ったことも無いけど、この店が懐かしく思う。映像のライティングが絶妙なんですよね。

地味な映画と言えますが、猫の使い方など細部にほんとにこだわりがあって、話の展開も最悪でありながらコミカルで、ちょっと悲しくて、やりきれないけど「仕方ないね」ってデイビスに話しかけたくなります。

こういう映画は大ヒットもしてほしくなくて、でもどこかの名画座である日ふと上映していてほしい、そう思うのであります。


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