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『シン・レッド・ライン』映画のあらすじ&感想:反戦映画の金字塔

1998年 テレンス・マリック監督 ここには生死の狭間の細い線が引かれていた・・。ガダルカナルの戦いをリアルに描いた作品。反戦の2文字が終始、頭に浮かびます。

あらすじ

太平洋戦争中の1942年、アメリカ陸軍の部隊がガナルカナル島へ上陸。兵士たちは日本軍と激しい戦闘を続ける一方、複雑な思いを抱えていた。

手柄を焦る司令官トール中佐、彼に反発するスタロス大尉、志願して斥候隊に加わるウィット二等兵(ジム・カヴィーゼル)、勇敢なウェルシュ軍曹(ショーン・ペン)、戦地で知った妻の心変わりに困惑するベル二等兵。

そんな彼らは大自然の中で繰り広げられる戦闘の果てに何を見たのか。映画com.

感想

ガダルカナルと聞いて、「あ、日本軍がたくさん亡くなった激戦地だ」って気づく人、どれくらいいるでしょう。

この映画での米国軍の戦っている相手は、日本人です。

しかしこの作品は、勇壮に戦うアメリカ軍人を描くものではなく、人の命が無常になくなることの悲惨さを、哲学的に描く完全なる反戦映画です。

しかも戦闘シーンは実にリアル。もちろん本当の戦争を知っているわけではないですが、それでも、これまでのドラマで描かれる戦闘シーンの常識を、一挙に覆したレベルのものすごい臨場感だと言えます。

主人公のウィット二等兵を演じたジム・カヴィーゼルは、他の錚々たる俳優さんたちの中では無名に近い人でした。しかしその優しい佇まいは、作品が描きたかった主題そのものに思えます。

心優しき若者のウィット。カヴィーゼルの存在によって映画は成功を収めたといっても過言ではないとさえ思います。

ウィット二等兵の存在は映画を見ている世界中の観客のすべてなのです。

哲学的すぎて、退屈だという人も多いです。しかし、届く人には届く。この映画を抜きにして反戦映画は語れません。

この映画の何かが心に届いた人は、2度とこのようなことは起きてはならないという思いを共有することでしょう。