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『WAVES/ウェイブス』映画のあらすじと感想/映像と音楽と家族の再生

2019年 豪華なアーチストによるプレイリスト・ムービーと銘打っていますが、内容も心を打つ作品となっています。衣装も素敵だなと思いました。

あらすじ

フロリダで暮らす高校生タイラー(ケルヴィン・ハリソン・Jr)は、成績優秀でレスリング部のスター選手、さらに美しい恋人もいる。厳格な父との間に距離を感じながらも、何不自由のない毎日を送っていた。

しかし肩の負傷により大切な試合への出場を禁じられ、そこへ追い打ちをかけるように恋人の妊娠が判明。人生の歯車が狂い始めた彼は自分を見失い、やがて決定的な悲劇が起こる。

1年後、心を閉ざした妹エミリーの前に、すべての事情を知りながらも彼女に好意を寄せるルークが現れる。映画.com

感想

音楽は本当に素晴らしく、美しい映像とともに新しい体験ができたような感覚をおぼえます。と言ってもスクリーンでは見逃したので、曲がちゃんと聞けるようにイヤホンで没入して観ましたが、これは大成功。

PCからの音は実にきれいで、音量も自分の好みにできるので、けっこういい感じでした。

音楽、映像が素晴らしいだけではなく、ストーリーの展開も工夫されていて、前半の兄のパートと後半の妹のパートに別れています。

前半が「動」なら後半は「静」。家族の再生の物語が、心を打つ歌詞やサウンドとともに綴られていきます。

どこにでもある家族の悩み。心のすれ違い。だれでも10代の頃は無茶をするけれど、それなりに理由はあるもので。だけどその理由は人には言えなかったり伝わらなかったり。

ちゃんと話すこと。そしてちゃんと聞くこと。あたりまえだけどこれができていないことで問題が起きる。わかっていてもなかなかできないですね。

映画は一見、派手な作りではあっても、そのテーマは普遍的で心を打つものでした。

冒頭の自転車で走っているシーンは、日本映画の「リトルフォレスト」を思い出しました。前向きに生きようとしている人の心情を表現するときの、美しく効果的な小道具は自転車なのですね。