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『クーリエ:最高機密の運び屋』映画のあらすじ&感想:実話ベースのスパイ映画

2020年 イギリス映画。原題:The Courier(運び屋)ハラハラする展開と、スパイを演じた2人の俳優の好演で、たいへん見ごたえある作品でした。

あらすじ

1962年10月、アメリカとソ連の対立は頂点に達し、キューバ危機が勃発。英国人セールスマンのグレヴィル・ウィン(ベネディクト・カンバーバッチ)は、スパイの経験など一切ないにも関わらず、CIAとMI6の依頼を受けてモスクワへと飛ぶ。

そこで彼は、国に背いたGRU(ソ連軍参謀本部情報総局)の高官ペンコフスキーとの接触を重ね、機密情報を西側へと運び続けるが……。映画com.

感想

非常に地味な邦題のこの映画。そのためかあまり話題にならず終わったと思います。

しかし時代背景のキューバ危機というのは、今の時代に直接通じるテーマで、まったく他人ごととは思えません。

第三次世界大戦という核戦争になるかもしれなかったキューバ危機。

いろんな映画になっていますが、この作品では民間人のスパイに焦点を当て、その活躍によって戦争の回避につながったとしています。

確かにこの時、東西問わず、さまざまな人々が核戦争回避に動いたことでしょう。

人間はまだそこまで愚かでは無かった。

ただし今の時代はどうなのでしょう。恐ろしい流れを食い止められるのでしょうか・・。

さてこの映画。カンバーバッチは私が観た中で、最高と言える演技をしていると感じました。

クライマックスでの「君はやりとげたのだ!君が戦争を止めたのだ!」と叫ぶウイン(カンバーバッチ)の右手は朋友となったロシア人スパイのペンコフスキーには届かない。

このシーンはカンバーバッチの鳥肌級の演技を引き出したと言えるでしょう。

この場面が実話かどうかは別として、このセリフがあることで映画全体にキンと1本の筋が通った形となりました。

映画の善し悪しを左右する、ひとつのセリフというものがあるんだなあと、改めて映画の深さに感銘。

このところの世界情勢ともリンクして、佳作に出会えたことがとても満足できました。