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『シカゴ7裁判』映画のあらすじ&感想

2020年 アーロン・ソーキン脚本・監督。コロナの影響で劇場公開はされず、Netflixでの配信となりました。ア・フュー・グッドマンなどの会話劇の名手であるアーロン・ソーキンですが、いろいろ詰め込んだ早口の会話に疲れました。

あらすじ

1968年 大統領選挙を控えた8月、シカゴで民主党大会が開かれるのに合わせて、全米から反ベトナム戦争を掲げる若者たちが集結していた。

集会やデモが繰り返され、とうとうデモ隊と警官隊が衝突し数百人の負傷者が出てしまう。この事件の首謀者として、トム・ヘイデン(エディ・レッドメイン)をはじめとする7人(シカゴ・セブン)が逮捕され、裁判が行われることになった。

しかし保守的な裁判長は、7人が不利になる形で裁判を進めるのだった・・。

感想

実際におきたシカゴ7裁判をもとに、アーロン・ソーキンが書き下ろした脚本を、自身が監督しました。

ストーリーはシカゴ・セブン側からの視点で展開するので、事実と相違があるという声もあるようです。

観る前に、シカゴで起きたこの事件とベトナム戦争について下調べしておくのがおすすめ。「シカゴ7裁判」で検索してちょっと目を通すだけでもだいぶ違います。

映画全体を包んでいる60年代・70年代の勢いあるアメリカの雰囲気は、それなりにいいなと感じるのですが、どことなく現代感も漂い、50年以上前の話だということを忘れそうになります。

何がそうさせるのかな、と考えていたら、そうか会話だと思い当たりました。

会話のスピード感と展開は実に小洒落ていて上手いなと思う反面、1968年感が薄いなと言う感想を持ちました。

比喩の応酬で斜めに展開する会話は現代を感じさせるなあとなんとなく思ってしまいました。

作者に才能があり過ぎてそうなったのでしょうが、政治的な背景をぼやけさす効果はあった気がしますが、私としては残念なところです。

エディ・レッドメインの演技については、今回はとても普通だなという印象。もう少し弾けても良かったかと。

突出してうまいのは弁護士クンスラーを演じた、マーク・ライランス。セリフの一つ一つが芸術に思えました。

ラストシーンの判決の場面はぐっときて感動。そうこなくちゃという終わり方は爽快です。事実と違う部分があるとはいえ、判決は事実のとおりですので。