2018年公開 ウイレム・デフォーが全身全霊でフィンセント・ファン・ゴッホを演じています。ところどころゴッホの目線で映し出される映像が挿入され、私たちもゴッホの世界を疑似体験できたように思えます。
ポスターのデフォーは、まるでプラトーンですね。
あらすじ
19世紀の後半、黄色い家に移り住んだゴッホは、しばらくして友人のゴーギャンといっしょに暮らすことになった。
ゴッホの眼には自然の姿が生き生きと映っていた。絵のタッチは全く違う二人だったが新しい絵画を目指すことを誓う。
しかし奇行を繰り返すゴッホのもとを、しばらくしてゴーギャンは去ってしまうのだった。
感想
ゴッホの絵は、まるでデジタルで合成された世界のように不思議で、それでいて迫ってくるような迫力があり、画面全体に「動き」を感じます。
映画に登場するゴッホの作品たちは、無造作に部屋の中に置かれたり、寂しい壁に掲げられていましたが。印象派とは程遠い作風だったゴッホの作品を、昔の人々が価値を見出すのは難しかったのでしょう。
でもそれにしてもみんながみんな、口々に変な絵だと言うのは、少し違和感を覚えます。弟のテオが仕送りを続けたのも、問題を起こしながらも村人がモデルになってくれたのは、迫力あるゴッホの絵に、何かを感じていたのではなかったでしょうか。
ゴーギャンもゴッホを認めているからこそ決裂するまでは友人だったのです。画壇からは少しづつ評価され始めていたのなら、もう少し生きていたら、ゴッホは違う世界を見られたかもしれない。
ゴッホの精神が壊れていく速度のほうが、世の中の動きよりも早かっということでしょうか。
さて、誰が見ても納得できる演技だったウイレム・デフォー。彼の演技によって、ゴッホの精神世界に少しだけ近づけたような気がしています。ゴッホの絵を理解するうえで、デフォーの功績はとても大きいのではないかと思います。