1996年 オーストラリア映画 実在のピアニストのデビット・ヘルフゴッドの半生を描いています。主演のジェフリー・ラッシュはアカデミー主演男優賞を受賞しました。
あらすじ
メルボルンで貧しいながらも厳格な父(アーミン・ミューラー=スタール)のもと、ピアニストになるための英才教育を受けて育ったデビッドは、コンクールで優勝したり、天才少年と言われるようになった。
しかし父はデビッドが自分の元を離れるのを嫌い、アメリカ留学の話があっても断ってしまう。
それでもその後にイギリス王立音楽院への入学の話が持ち上がると、デビッドは家出同然にロンドンへ向かった。
夢中でピアノに打ち込み、コンクールで難解な曲と言われるラフマニロフの協奏曲第3番に挑戦。
見事に弾いたもののそのあとで意識を失い、精神に異常をきたすようになってしまう・・。
感想
演奏はほとんどデビッド・ヘルフゴッド本人が弾いています。手のみしか映らないシーンはヘルフゴッド本人の手です。
引きの画もけっこうあるのですが、ジェフリー・ラッシュは猛練習したようです。14歳まで習っていたとは言え役者魂ですね。
この映画の見どころはジェフリー・ラッシュの渾身の演技に尽きると言えます。精神の病に侵され、なおかつ誰からも愛されるキャラクターをちょうど良くオーバーに演じていて、ほんとに上手い、と思いました。
名優ジェフリー・ラッシュのことを説明するのはこのくらいにしておきましょう。
さて、この映画ですが、「お父さんがとても厳格で留学に反対した」、というくだりが、観ていてもなんとなく違和感がありましたが、あとになってこのことを家族が抗議しています。
「事実は異なり、父親はデビットととても友好的だった。留学を反対したのは総合失調症の兆候が出ていたためだ。」というもの。
これで合点がいきました。父親の深い愛情があってこそ、英才教育は行われ、また監視の届かない遠い国への留学に反対したのですね。
長い間入院し、昔ながらのショック療法を受けたりと、たいへんな思いをしましたが、やがてヘルフゴッドはピアニストとして再生しました。
そして生涯の伴侶となる女性にも出会ったのです。彼の人生は今度こそ輝き始めました。