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『ザ・ブリザード』あらすじ&感想/いい映画なのに恋人役がダメ

2016年公開。こんな映画誰も知らない、ぐらいヒットしませんでした。製作費がものすごくかかっているらしいけど、日本での興行収入は推定3億円。「君の名は。」の80分の一ぐらいです。残念。ザ・ブリザード (字幕版)

あらすじ

アメリカの沿岸警備隊の若き隊員バーニー(クリス・パイン)は、正義感が強く、困っている人を助けずにいられない。この日も悪天候で遭難したタンカーの乗組員を救出するために嵐の海に向かう。美しい恋人のミリアム(ホリデイ・グレインジャー)はそれを知っていたたまれず、警備隊本部に怒鳴り込む・・。

感想

私は結構面白いと思ったんですけど、なんか地味だからか、ヒットしなかったですね。日本人の洋画離れもあるかもしれないですが、本国アメリカでもパッとしなかったようです。せっかくのクリス・パインが、等身大のヒーローを演じているのに・・。

ひとつ気になったところは、お金はかかっていて、波しぶきや難破船のシーンが凄いのに、そういう緊迫したムードをぶち壊すバーニーの恋人の出しゃばりな性格がとても邪魔なところです。

せっかくの、ほんとにせっかくのケーシー・アフレックの深い演技も、クリス・パインの真に迫る表情も、彼女が時々出てきてうるさくぶち壊す。そういう印象だけが残ってしまった作品でした。

思い起こしてみると、沿岸警備隊がタンカーの乗組員を救出した実話の映画化で、タンカーも警備隊の船も、街も車もすべてが時代色豊かによくできており、ストーリーも主人公の恋人の話を絡めながら、テンポよく展開し、手に汗握るクライマックスで、たいへんいい映画だったのです。

クリス・パインとしても、彼の名声を不動のものにする大作となったはずでしたが・・、何故か大赤字に。うーんなんでかなあ。

恋人役がウザイってことは映画館行って見てみないとわからないことで、それ以前にみんなが行こうとしなかった、ということは、もうこういう地に足の着いた題材が、支持されないということですかね・・。

それはつまり、漫画の映画化みたいな作品を求める観客が増えたため・・ということで。

それは、映画ファンとしてとても残念なことであり、嘆かわしいです。

「この世界の片隅に」があのようにヒットしたことは、まだまだ日本も捨てたものじゃない、と思わせる出来事でしたが。

この「ザ・ブリザード」がコケたことは正直ショックでございました。