2015年公開。人がなぜ山に登るのか。これまでわからなかったものが、この映画を見て、少しわかりました。言葉に表すのは難しいけれど、それは本当に純粋な山への思い。「そこに山があるから」とよく耳にしますが、ほんとうにそんな感じが伝わってきました。そして、迫力あるエベレストの素晴らしい映像でした。
エベレスト (字幕版)
あらすじ
さまざまな思いや事情を抱え、エベレストに登るために世界中から人々がやってきます。この日も、あるグループが登頂を目指すが、道具の不備や体調不良や天候不良で、デス・ゾーンと呼ばれる人間が生きることのできない死の領域で離れ離れになってしまう・・
感想
1996年に実際に起きた遭難事故の映画化です。この時期エベレストには大勢の人が登頂を試みるために集まってきており、嘘のような話ですが、頂上近くでは、下山する人を待機して待ってから頂上に向かわなくてはいけない、工事中の交互通行みたいになっていました。この商業登山に対して、事故の後に批判が相次いだようです。
エベレストはそんなに甘い山ではなく、登頂するためには何か月もかけて近くの低い山で訓練登山しながら、だんだん高い山に登っていくということをしなくてはなりません。お金も体力も並大抵ではなく必要です。
それなのにシェルパやガイドが荷揚げをしてくれ、登山技術が未熟な人でも登れるようになっていた、ということがこの事故の背景にあるようです。
しかし、映画の美しいエベレスト、壮大なエベレストを見ていると、山を愛する人が登りたくなる気持ちがわかるようになりました。
だからなおさら、ほんとうにエベレストを尊敬し登頂したい、と思う登山家だけが、エベレストに挑戦する資格があるのかな、と思いました。
映画は遭難したパーティの面々がそれぞれの事情を抱え、ネパールの町に入り、登頂をめざす姿が描かれます。それだけのストーリーなのにどのシーンも丁寧に描かれ、エベレストへの道にぐんぐん引き込まれていきます。
終わってみると、自分もエベレストに近づいた、登る意味がすこしわかった、と思ってしまう映画です。