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実話

『運び屋』映画のあらすじ&感想/さすがのいい作品です

クリント・イーストウッド監督は、面白くない映画は作らないようです。

運び屋(字幕版)

あらすじ

アールは「デイリリー」という花を育てる仕事をしていたが、仕事に打ち込むあまり、家庭をないがしろにしてきた。90歳になって事業はうまくいかなくなり、家族とも離れてしまっている。

そんなある日、男に声をかけられアールは荷物を運ぶだけという仕事を請け負う。長い距離ではあるが、ある場所に荷物を届けただけで、大金の報酬を得ることができた。

その金で孫娘の結婚式に金を出し、疎遠になっていた家族と少しでも近づけた。

アールはその後数回、荷物を運んで報酬を得た。そしてあるとき荷物の中身を見てしまう。中身は大量のコカインだった・・。

感想

実際に起きた87歳の運び屋の事件をもとに脚色されています。クリント・イーストウッドがはまり役でした。

予告編は見ていましたが、なんとなくあまり期待できない気がして、どうしようかなと思いながら映画館へ。でも本編は予告編とは全く違いました。素晴らしい作品です。

脚本がとても良くて、テンポよく飽きさせない展開です。イーストウッドの演技もしっかりしています。88歳は88歳なのですが、気骨あるユーモアたっぷりの天然おじいさんを、とてもうまく演じています。麻薬組織の悪人たちを、極悪人に描いてないのもうまい。

またお得意の、ブツブツ切る編集が、なんと心地よいこと。あの雑なところがたまらなく娯楽映画らしくて快感です。だって映画は芸術である前に娯楽なんだから。

ブラッドリー・クーパーも実にいい仕事をしていました。体もすっきり絞って、銃の扱いや身のこなしもセリフもかっこいい捜査官です。

イーストウッドとレストランで会話するシーンは、2人のサシの勝負という感じで、緊張感がありました。イーストウッドはさすがの貫禄。クーパーもなかなかいい演技で応酬。でも緊張しているのが画面から伝わってきました。

ここからネタバレ

クライマックスで捜査のヘリに追われるアール(イーストウッド)が、ヘリを見上げる厳しい表情は、一瞬、ダーティ・ハリーに見えました。さすが元祖アクションスターであります。