2018年公開 原作を読んだ人はもちろん、読んでない人はもっとつまらない映画だと思います。
ビブリア古書堂の事件手帖 [DVD]あらすじ
就職活動中の五浦大輔は亡くなった祖母が所有していた、夏目漱石の大全集に一つだけ「夏目漱石」というサインが入っているのに気づき、ビブリア古書堂に査定を依頼に持ち込んだ。そして店の女主人の栞子に大輔はほんのり恋心を抱く。栞子が本を鑑定していくうちに、祖母の若い頃の秘密があきらかになっていく。本を見ただけでそんなことがわかってしまうのか、と栞子の知識と洞察力に大輔は感心するのだった。
ビブリア古書堂でアルバイトすることになった大輔。あるとき太宰治の古書を買いあさっている「大庭要蔵」という人物がいるという噂が古書業界で流れているのを知る。実は、栞子のところにも大庭からメールが来ていた。栞子が所有している「晩年」の初版本を譲ってほしい、というもので、いくら断ってもしつこくメールは来るのだった・・。
感想
ビブリア古書堂の事件手帖は、数年前にブームになり、フジテレビの月9ドラマにもなりました。そのドラマは視聴率は上がらなかったものの、原作の雰囲気をうまく再現したドラマになっていました。私はどちらかというとドラマのほうが作品の完成度が高いような気がします。主役の剛力彩芽さんがあまりに栞子と雰囲気が違うので、ネットがざわついたということはありましたが。
映画のほうの配役は皆さん適役だと思いますが、ただ監督が「栞子」という人を良く理解しないままなのか、あのキャラクター作りは残念ながら少し間違っています。せっかく黒木華なのに。
とにかくいちばんだめなのは脚本。それからセットや衣装などの設(しつら)え。スタッフの方たちは原作を読んでいないのでしょうかね。
冒頭のシーンで嫌な予感はしましたが、ビブリア古書堂のたたずまいを見たらやっぱり、残念~という感じ。それから先は、筋書きのアラを探すことに気を取られ、感動するどころではなくなりました。
原作と変更するところがあるにせよ、矛盾のある物語にしてはいけないです。人は理由があって行動します。その理由が納得できないことばかりでは、観客は映画の世界に入り込むことができません。
なぜそういう矛盾のある物語を作るのか、それは原作をリスペクトしていないから、だから「ないがしろ」にしているのだ、と思うしかないのです。
原作を読まず、映画だけみるという人がほとんどだと思いますが、「なんだこんな話か」と思われたとしたら、すごくすごく残念です。