2022年 セバスチャン・レリオ監督、フローレンス・ピュー主演。原題:The Wonder 何も食べずに生き続ける少女が本当にいるのか・・
あらすじ
アイルランド大飢饉から13年後の1862年。イギリス人の看護師リブ(フローレンス・ピュー)はある仕事の依頼を受け、敬虔なクリスチャンの住民たちが暮らすアイルランドの小さな村を訪れる。
仕事内容は、4カ月間何も食べずに“天の恵み”によって生かされているという11歳の少女アナを、15日間にわたり観察するというものだった。リブは“奇跡”の真相を突き止めようとする一方で、急激に健康状態が悪化していくアナを救おうとするが……。映画com.
感想
アイルランドの小さな村の、敬虔なクリスチャンの村人たちは、天による奇跡を目の当たりにしていると信じて疑わない。そしてそこに悪意もまったく無い。
そうなると都会からやってきた一人の看護師が、いかに冷静に対応しようとしても、それは誰にも受け入れられないということになります。看護師リブはどのように解決していくのか。
意志の強いそして心に傷を持つリブをフローレンス・ピューがしっかりと演じています。
今回はいつものように表情豊かで快活な役ではないですが、最初から最後まで独り舞台という感がありながらも、ちゃんと飽きさせることなく見せることができています。
そして、物語の核となるアナを演じたキーラ・ロード・キャシディ。彼女の可憐な美しさも映画に深みを増す大切な部分でした。クライマックスでアナが語る真相、そして衰弱していくアナ。それらは美少女という大道具がないと表現することができないものでした。
信仰とサスペンスがうまく絡まったストーリー。1862年という時代背景の神秘さ。いろいろな要素が機能して、地味なテーマではあっても非常に良作であると思います。
ちょっと気になったのが・・最初と最後に、ドラマのセットが組まれたシーンから入り、またセット組の場面で終わるという演出。これは時代感が薄れるので無いほうが良いと思いました。
ただしもっと予算を大きく取って脚本もふくらまし、大作映画にするのなら、これもありでしたが。