2023年 Netflixで配信。ルイス・ベイヤードの小説「陸軍士官学校の死」を映画化したミステリーサスペンス。若き日のエドガー・アラン・ポーと元刑事が連続殺人の謎に挑みます。クリスチャン・ベールが主演・製作も務めました。
あらすじ
1830年のある冬の日。米ニューヨーク州ウェストポイントの陸軍士官学校で、ひとりの士官候補生が、心臓がくり抜かれた死体となって発見される。
学校の体面に傷がつくことを恐れた幹部たちは、事件をひそかに調査するため、引退していた地元の元刑事オーガスタス・ランドー(クリスチャン・ベール)に真相解明を依頼する。
調査を進める中でランドーは、詩を愛する風変わりな士官候補生のエドガー・アラン・ポー)と出会い、2人で事件の真相に迫っていくが……。映画com.
感想
まず、いったい「ほの蒼き瞳」とは誰の瞳を指すのだろうと気になります。
それはエドガー・アラン・ポーの瞳の事では、という説もありますが、私は1人の瞳ではないのではと感じています。
ペールブルーの瞳・・それは誰かの心に残り続け、事件の引き金にもなったのでしょう。
そしてこの映画、どう評価しようか考え込んでしまう作品でした。なぜならばこれほどしっかりと作られているにもかかわらず、なんとなく作品に個性が無いからです。
映画の舞台は1830年のニューヨークの陸軍士官学校。当時の衣装や、士官学校、邸宅の装飾品などどこを取っても美しく完璧に再現され、またストーリーももちろん骨格のしっかりしたミステリーとなっていました。
ですが、どことなく作品に個性が無いように思える。それはおそらく最後のどんでん返しがそうさせるのかな、と思ってしまいました。
Netflix映画だから、と言ってしまえばそれまでですが、そうだとしてもこれだけ謎解きの面白さがあり、1830年の雰囲気がとても良かっただけに、ちょっと残念に思います。
私が思うに、エドガー・アラン・ポーは言わば探偵であり妖精のような立ち位置。もう少しかわいげのある人物像を作り上げ、ランドー(クリスチャン・ベール)との好対照を際立たせたほうが良かったのではと考えます。
あの大どんでん返しを成功させ、納得させ、気持ちを収めるためには、探偵エドガー・アラン・ポーの存在がカギを握っていた。
ポー(ハリー・メリング)こそがこの映画の影の主役。ハリー・メリングは決して演技がヘタではないですが、何か足りない。写真の表情だけを見ても、滑稽ではあるが愛すべきキャラではなさそうに見えてしまう。
つまり、製作者はミステリー好きの観客が一番求めているものを見落としたと言えるかもしれません。