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サスペンス

『TIME/タイム』映画のあらすじと感想

2011年 ジャスティン・ティンバーレイクが歌わずに頑張っています。「ガタカ」の監督らしい作品ですが、あれほど良くありません。

あらすじ

科学の進歩によってすべての人類は25歳で成長が止まり、腕に埋め込まれた体内時計が示す余命時間だけしか生きられないという未来。

富裕層はどれだけでも時間を手にできるが、貧困層には毎日の余命時間が23時間しかなく労働によって命をつないでいた。

あるとき富裕層の男から100時間を譲り受けた貧困層のウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)は、富裕層の暮らす地域に潜入。

大富豪の娘シルビア(アマンダ・セイフライド)と出会い、追跡を受けながらも時間を支配する社会の謎を解明しようとする・・

感想

設定はなかなか面白いのですが、あと1歩何かが足りない。その1歩がとてつもなく大きいです。

「時間」というものが通貨になっている時代。何をするにも、例えばバスに乗るときも時間で払う。残り時間はそれぞれの腕に組み込まれたデジタル時計の緑の文字で表示し、0になってしまうと命が尽きる・・。

遺伝子操作で25歳以降は年を取らなくなる。ただし時間は働いて得なくてはならない。労働者階級と富豪とでは格差が生じており、住んでいる地域も隔てられている。

富豪になると100万年時間を持っていたりする。ほとんど老人なのだが25歳で見た目は止まっている。

これだけのややこしい設定。ちゃんと真実味を持たせるにはそれなりのテクニックが必要。ドーンと観客を驚かす仕掛けが無いと、ただの変わったSF映画で終わってしまう。その典型なのがこの作品です。

寿命の残り時間が通貨の代わりである、という実に残酷な設定なのに、あと1日しか残り時間が無いのを誰もが平気でいる、ということが、まず受け入れがたいです。だって、0になったら死ぬのだから、人はもっと必死にならないとおかしい。

何から何まで中途半端なので、終始B級のにおいが付きまとってしまう。50億円もかかっているとは信じがたいです。

ただしかし、私は「時間がお金」という設定は非常に面白いと思いました。

なぜなら、人類は、「時間だけがお金で買えない」からです。

複雑なストーリーにする必要は全くなく、「時間を買う」ことができるようになった理由を描くだけでじゅうぶん面白い話になったと思うのですが、「ガタカ」のような作品にはなれませんでした。

「時間」という概念自体がミステリアスだから、時間をテーマにした映画、もっとたくさんできるといいなと思います。

ところでシルビアの登場シーンの彼女のの美しさ。とても印象的で、期待感がぐっと高まった瞬間でした。そのあとドンと落ちましたが。