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サスペンス

『コリーニ事件』映画のあらすじと感想/ドイツの歴史と司法の問題に切り込んだ秀作

2019年 ドイツの世界的ベストセラー小説の映画化。これは実によくできた力作です。往年の西部劇スターのフランコ・ネロが渋い。

あらすじ

新米弁護士カスパー・ライネンは、ある殺人事件の国選弁護人を担当することに。

それは、ドイツで30年以上にわたり模範的市民として働いてきた67歳のイタリア人コリーニが、ベルリンのホテルで経済界の大物実業家を殺害した事件で、被害者はライネンの少年時代の恩人だった。

調査を続ける中で、ライネンは自身の過去やドイツ史上最大の司法スキャンダル、そして驚くべき真実と向き合うことになる。映画.com

感想

1人の大富豪が殺害されるところから物語は始まる。コリーニとは犯人の名前。イタリア人の名前である・・。

かたときも目が離せず手に汗を握る作品とはこのことです。裁判を通して事件の動機をあきらかにしていく、という派手さは無いテーマなのですが、その推移にハラハラし飽きさせることはありません。

ドイツ映画は今まで2~3本しか観ていませんが、どれも秀逸でした。この作品もドイツでは記録的なヒットとなったとのことで期待していましたが、まさに期待通りの力作でした。

残念なところは「地味」であること。それはおそらく我々にドイツ人俳優の知識がないからでもありますが、全体に感情の起伏が少ないような演技でまとめられている気がします。これは娯楽作品としてみる場合には難点となってしまいます。

ただ、もしもフランコ・ネロが感情を爆発させる演技をしてきたら、それはそれでちょっと違うなと思うかも。淡々とした社会派サスペンスに派手さを求めるのは日本人の悪い癖かもしれません。

この映画はこれで完成しています。ドイツの歴史、司法の問題に切り込んだ秀作をどうか堪能してください。