1995年 デビット・フィンチャー監督 ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン主演。くすんだグリーンを基調にした色使い。降りやまない雨。独特な世界観に迷い込まされました。
オープニングクレジットやエンドロール、図書館の緑のライト、出演者の衣装、すべてデザインが素晴らしい。この「セブン」によってサスペンス映画の歴史が塗り替えられたように思います。
あらすじ
退職まであと1週間のベテラン刑事サマセット(モーガン・フリーマン)は、新しく赴任した刑事のミルズ(ブラッド・ピット)とともにある殺人現場現場に到着した。
とてつもない肥満の男が、何者かに強要され大量の食物を摂取し死亡していた。そして発見された「GLUTTONY(暴食)」の文字。
つぎの被害者は強欲と噂される弁護士のグールド。ビルの自室で血まみれで発見され、やはりそこには「GREED(強欲)」と血で書かれた文字が。
サマセットはキリスト教の七つの大罪になぞらえた事件であると推理する。
傲慢、強欲、嫉妬、憤怒、色欲、暴食、怠惰の七つの大罪に関連した方法で、犯人は次々と殺人を犯していく・・。
感想
この最後の結末が、公開当時はとても受け入れがたく、重いものが心に残ったのを憶えています。
25年が経過して再鑑賞し、自分が大人になったのか重いものは軽くなり、改めて名作だということを実感したこの作品。
当時は若く美しい「ブラッド・ピットの主演映画」と宣伝されていたので、そのグロさに引いた人も多かったはず。
だけど有難いことに名作は色褪せておらず、結末がわかっていてもそのスリリングな展開にどんどん引きこまれる凄い作品でした。
俳優さんたちの、若さがあふれ、脂ののった演技が見られて、そのことに感動すら覚えます。
デビット・フィンチャー監督は、犯人が誰なのかがわかるのを恐れ、犯人役の名前をオープニングクレジットに入れませんでした。
細部にわたり、本当に細かく作りこまれたセット。教養溢れるサマセット役のモーガン・フリーマンの服の着こなし。
洗いざらしを着ているブラッド・ピット。無駄のない台詞たち。トレーシー(グウィネス・パルトロー)の美しい金髪。ラストシーンまでやまない雨。
どれひとつとってもほんとうにこだわっている。全部意味がある。こだわりのかたまりのような映画です。
そして、当時私が最も驚かされたのが犯人。およそ犯人らしからぬキャラクターを、本当にうまく演じられていて、その気持ち悪さにぞっとしたのを憶えています。
未見の方、「セブン」はサスペンス好きの方には必見の作品かもしれません。