2018年 デンマーク映画 原題:Den skyldige(有罪)コールセンターから一歩も出ないで、電話のやりとりだけで展開する映画。だけどまったく飽きさせません。
あらすじ
元刑事のアスガーは半年前から警察の緊急通報コールセンターに勤務している。ヤク中からの電話や他愛ない用事ばかりを受付けるような毎日。
そんなある日、様子がおかしい女性・イーベンからの電話が。アスガーはイーベンが誘拐されていることを察知し、会話の中から手掛かりを得ようとする。
いっしょにいる人物のこと、また自宅には幼い子供が2人取り残されていることを聞き出し、いったん電話を切って、現場に警察官を急行させる。
あと少しで勤務が終わるという時間になるのだが、アスガーは対応を続けるのだった。
感想
なんらかの事件によって現場を外されたアスガーは、今までコールセンター内で不遜な態度を取っていたらしいのですが、この時初めて同僚に話しかけ、今までの態度を詫びて、電話器とPCの操作について尋ねます。
久しぶりの事件に遭遇し、最初は刑事としての血が騒ぐアスガーでしたが、ことごとく事態がひっくり返り、事件はこの数分間でアスガーの人生観すら変えようとしていました。
コールセンターの中から一歩も出ないのに、その会話だけで鮮明に状況が浮かび、そして刻々変わる状況に翻弄されるアスガーと私達。
クライマックスで彼が相手と心からの会話をすることで事件は解決へ向かいます。アスガーはどんな仕事も、仕事の重さは同じだということにようやく気付くのでした。
始まってすぐに、こんなに引き込まれ、ずーっと最後までアスガーとコールセンターの人の顔しか見ないのに、まったく飽きなかったなんて信じられない映画です。
ところでアスガーは右耳にヘッドセットを付けています。通常左耳のはずですが、これは観客から見て左側になるようにわざと反対に付けていると思われ、演出のこだわりが見えました。
ただ、惜しいと思ったのは、最後にもうひとひねり、何かもっと違う動きがあるんじゃないかと期待してしまったこと。
結果、展開のバランスとして、しゅーっと萎んで終わったような印象を少し持ちました。
それでもこの映画、思わぬ拾いものをしたような気持ちです。かなりおすすめだと思います。
同じ題名でハリウッドのリメイク作品もありますが、やっぱりオリジナルがまずおすすめです。