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サスペンス

『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』映画のあらすじ&感想

1994年公開 トム・クルーズ、ブラッド・ピットがヴァンパイヤ役で競演。なんと贅沢な画面。1976年の小説「夜明けのヴァンパイア」(アン・ライズ)の映画化。

あらすじ

現代のサンフランシスコ。部屋の中ではライターのダニエル(クリスチャン・スレーター)がある人物にインタビューをしようとしていた。

「私はヴァンパイアだ。200年生きている」というその男性の名はルイ(ブラッド・ピット)。彼は驚愕の人生を語り始めた。

18世紀の終わり、ニューオリンズで地主のルイは、妻を病気で亡くして自暴自棄になっていた。死にたいと思っていたルイにある男が近づく。その男はレスタト(トム・クルーズ)というヴァンパイア(吸血鬼)だった。

隙を見てルイの首に噛み付き血を吸うレスタト。さらにレスタトはルイにこのまま死ぬかバンパイアになるかと迫る。そうしてルイが出した答えによって、レスタトと同じヴァンパイアとなった。

しかし人間の命を奪うことをためらうルイは動物の血でなんとか命を繋ぐ。そんなある日、母を亡くした美しい少女クローディア(キルスティン・ダンスト)に出会い、ルイは我慢できずにその首に噛み付いてしまった。

レスタトはクローディアをヴァンパイアの仲間に引き入れる。少女は貪欲に人間を襲い、血を吸うようになった。そんな3人の生活が数年続き、クローディアは体が子供のまま、心だけが大人に成長していった。

「どうして大人になれないのだろう、自分をヴァンパイアにしたのは・・」

そしてあるとき真相を知ってしまったクローディアはレスタトに復讐を誓う・・。

感想

原作者のアン・ライズは、レスタト役にトム・クルーズが決まったとき「有り得ない」と批判しました。それも相当な剣幕で。

しかし出来上がった作品を見た彼女はトムの演技に大満足。大金をはたいて新聞に謝罪広告を出したぐらい。確かに同じ感想を私も持ちました。トムが吸血鬼と聞いたときと、映画の中のレスタトに出会ったときに。

まだ若いトム・クルーズがこのレスタト役をここまで見事に演じ切るとは、当初想像もしていませんでした。もともと演技力に定評はありましたが、この作品によって彼は役者として大きく開花しました。

片やブラッド・ピットは若く美しい青年ではありますが、トムほどのインパクトを残すには至りませんでした。それでもその美形ぶりは「もうそれだけでいいか」と思わせてくれましたが。

ヴァンパイアとは、かくも試練の道を歩かなくてはならないのか・・。陽の光を浴びることができず、夜の世界で、人間の命を奪いながら生きていく、恐ろしくも悲しい存在。

ルイがたどった200年の物語をインタビューする青年ダニエルの役は、はじめはリバー・フェニックスが演じる予定でした。しかし彼の急逝により叶いませんでした。

映画の良しあしは8割9割ラストで決まるとしたら、この映画のラスト、ダニエルは美青年でなくてはならなかったのでは、と私は思います。

この映画、最初から最後まですべて良かったとは言えません。途中「このシーンいる?」と思ったりもしましたが、インタビューをするライターのダニエルがいたことで全体が締まったと言えます。

ダニエルはとても重要な役だったのです。普通の人であるクリスチャン・スレーターが結果的に良かったのか、それとも超美青年のリバーが良かったのか。

頭の中でリバーに置き換えて妄想上映を何度もしています。答えは出ないままです。