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サスペンス

『ゲティ家の身代金』映画のあらすじ&感想

2017年 リドリー・スコット監督。この映画は1973年に実際に起きた大富豪の孫の誘拐事件をもとに描かれています。度ケチのゲティを演じたクリストファー・プラマーがアカデミー助演男優賞にノミネート。
ゲティ家の身代金(字幕版)

あらすじ

当時世界一の富豪とされていた、ジャン・ポール・ゲティの三男の息子ポールが誘拐された。

しかしケチなゲティは「身代金を払えば、14人いる孫すべてが誘拐されてしまう」という理由で支払いを拒否。しかしその後ポールの耳の一部が新聞社に送り付けられ、世間は大騒ぎに。

しかたなくゲティは身代金を払うことを承知するが、金額を値切ったり、また節税に利用するなど、ほんとうに腹黒い人物なのだった。

感想

母親役のミシェル・ウイリアムズはやっぱり上手い女優さんでした。ゲティにとっては嫁に当たる役ですが、とにかく息子を取り戻そうと大活躍。女優さんのセリフに迫力があると、作品に艶が出ますね。

この事件は当時の大事件で、パパラッチが母親に付きまとうシーンなどリアルに再現されています。ゲティの役は最初はケビン・スペイシーのはずが、スキャンダルで降板し、撮影した部分をデジタル処理して差し替えたり撮り直したりと、たいへんだったようです。

またリドリー・スコットの映像感覚がいかんなく発揮され、どのシーンも美しく、衣装の色もすべて効果的で素晴らしいです。

日本での評判はあまり芳しくないですけど、大人向けのサスペンス映画としてはまあまあよくできた作品だと思います。

ただ、事実の映画化ですので、ヒーローが最後に解決するという流れでは無いためか、なんとなく「もうひとひねり欲しかったな」と思うラストでした。

ポスター写真の躍動感とクリストファー・プラマーの怪演からすると、クライマックスからラストにかけてはちょっと迫力不足という感が否めません。