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『シン・ゴジラ』映画のあらすじ&感想/大ヒットしたのは、めちゃくちゃおもしろいから

2017年公開。ゴジラ映画は好きですが、こんなおもしろいゴジラ映画は初めてでした。音楽やゴジラの姿かたちを踏襲しながらも、これまでのゴジラ映画とは一線を画しています。

シン・ゴジラ

あらすじ

はじめは東京湾羽田沖の水蒸気の噴出だった。そして東京湾アクアラインのトンネルが崩落し、政府は海底火山などを疑うが、インターネットの画像で生物のようなものが写っており、内閣官房副長官の矢口(長谷川博己)はいち早く巨大生物の存在を訴えるが、相手にされない。

しかしその後巨大生物が姿を現すことになり、どういう名目で自衛隊を派遣するかの議論などで政府は紛糾する。

そうこうしているうちに生物は形態を変えていき、最終形態のすがたになる。実は以前から米国は巨大生物の存在を掴んでおり、極秘裏に来日した大統領特使(石原さとみ)の情報により、巨大生物の名前は「Godzilla」と呼称されていた。

感想

いきなり出てきた生物だか何だかわからないものをめぐって、日本政府は杓子定規な議論を延々と続けます。そのコミカルな畳みかけるようなやりとりが、今の日本政府もゴジラが出たらこうなんだろうな、と思うと可笑しくて可笑しくて。この前半の政府の紛糾シーンが、今までのゴジラ映画にはなかった斬新なところ。そして大大ヒットの要因だと思います。

長谷川博己は熱演する俳優さんですが、今回それがあまり目立ちません。みんな熱演しているからです。出演者も並々ならぬ情熱で挑んでいるのがわかります。

また「日本映画はクライマックス前まではおもしろい」というのが定番ですが、シン・ゴジラに関しては最後までおもしろいです。特にストーリーに変化があるわけでなく、ただゴジラをやっつけるというだけなのですが、そのやっつけ方に一工夫。一人のヒーローが肩に担って戦うのではなく、みーんなで協力して挑むのです。それがスピーディで飽きさせない。

そしてなんと途中でエヴァンゲリオンを出してきた。なにしろ監督自身の作品だからしょうがない。「新幹線爆弾」のところで、エヴァを知っている人はおおぉっとなるのだそうで、上手いこと挿入したな、という感じ。

中盤までゴジラはとてつもなく無敵だったのに、なんか終盤急に弱くね、と思いつつも、最後は「やったー」となる終わり。しかも、謎を投げかけたラストシーンで終わる。

ネットで検索すると「謎のラストシーン」でいっぱい書き込みが出てくる。尻尾のあたりに無数の第5形態の生物が。それはまさしく人間の形をしており、人間はゴジラの進化した姿だという暗示のような・・

また、ゴジラは凍結されただけで死んでないので、絶対続きがあるなと期待させるラストでもありました。

劇場とテレビ放映と2回見ましたが、まだ咀嚼し足りない部分があるので、そのうちもう一回見たいと思っています。2017年を代表する邦画のひとつだったと思います。