2022年 2人のダニエルによるダニエルズ監督作品。ミシェル・ヨー主演。略称エブエブ。とてつもない映画ではあるが、テーマはシンプルな家族愛。
あらすじ
経営するコインランドリーは破産寸前で、ボケているのに頑固な父親と、いつまでも反抗期が終わらない娘、優しいだけで頼りにならない夫に囲まれ、頭の痛い問題だらけのエヴリン(ミシェル・ヨー)。
いっぱいいっぱいの日々を送る彼女の前に、突如として「別の宇宙(ユニバース)から来た」という夫のウェイモンドが現れる。混乱するエヴリンに、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と驚きの使命を背負わせるウェイモンド。
そんな“別の宇宙の夫”に言われるがまま、ワケも分からずマルチバース(並行世界)に飛び込んだ彼女は、カンフーマスターばりの身体能力を手に入れ、全人類の命運をかけた戦いに身を投じることになる。映画com.
感想
毎日の生活に疲れた、中国系移民の中年女性エブリン。昔は綺麗だっただろうなという名残りはあるが、何しろ忙しくてガサガサになっちゃってる設定は、すんなり感情移入できました
この日は朝からとにかく忙しい日。いろんなことで頭がパニック寸前だったエブリンだったが、突然そんな彼女の身に起きた出来事は、奇想天外なことだったというこの作品。
ダニエルズという2人の監督さんによって生み出された、斬新な映画です。これを新しいジャンルとして受け入れるか、荒唐無稽だとするかは、別れるところでしょう。
私は、ジャンルとしてはアリだと思いますし、同じような世界観の作品は、これまでも洋画邦画であったと思います。しかし「家族愛」という身近なテーマを織り込み、これでもかとがんばるミシェル・ヨーの姿は、この作品を唯一無二のものに昇華させました。夫役のキー・ホイ・クァンの2役も実にうまかった。
それによってなのか、流れなのか、アカデミー賞で多部門でノミネートされ、世界中の注目を集めることになったのです。
さあ、果たしてほんとうに名作なのか。
これは、いちシロウトである私だから言えることですが。「そうでもない」というのが答えです。
なぜなら、映画に必要な一番大事なものが足りないから。それは、面白さ。
どのようなジャンルの作品であっても、モノクロ、シリアス、コメディ、恋愛・・それらすべてに共通する名作の条件は、「どうなるの?」という引き込まれる面白さです。
これが無いのに、とてつもない勢いだけでやってるという印象が否めない。娘への愛というテーマと、エブリン自身の人生の選択というテーマがとっちらかって整理されていない。
本作の評価は、繰り返しますが「そうでもない」です。ミシェル・ヨーだけは60歳なのに凄いと思いますが。