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『12モンキーズ』あらすじ&感想/90年代に見逃した方必見

90年代は名作の宝庫です。

1995年公開。一口に言って難解な映画です。ただしモヤモヤ感は、あることを基準に考えるとスーッと消えていきます。

あらすじ

2035年 地球の人口の99%はウイルス感染によって死滅し、生き残った人々はどうにか地下に暮らしていた。囚人のジェームス(ブルース・ウイリス)は、あるミッションを釈放を条件に言い渡される。

それは、地球を覆っているこのウイルスに対抗するために、1996年にウイルスをばらまいた者を探し出し、ウイルスのサンプルを入手することだった。ウイルスをばらまいた犯人は「12Monkeys」という団体だとわかっていた。

しかしジェームスは間違って1990年に送られてしまい、しかも暴力沙汰を起こして捕まり、精神病院に入れられてしまう。

そこでジェームスは著名な精神科医のキャサリン(マデリン・ストウ)と出会う。キャサリンはジェームスを見て「どこかで会ったことがある」と直感する。

ジェームスもキャサリンを知っていた。何度も見る同じ夢の中に出てきた女性だった。その夢は「空港で男が撃たれ、それを止めようとするキャサリン、それを見ている子供の自分」というものだった。

精神病院でジェフリー(ブラッド・ピット)という患者と知り合う。話し出すと止まらない、常にハイな患者ジェフリーの父親は細菌学者だった。

一度2035年に戻ったジェームスだったが、ふたたびキャサリンの前に現れた。そしてキャサリンを拉致してフィラデルフィアへ向かう。そこには謎の団体「12Monkeys」の本拠地があった。

感想ちょっとネタバレ

タイムトリップもので、謎解きで、しかも主役は精神的に不安定な囚人。見ているこちらはとても不安定な気持ちのまま話が進行し、「映画はやっぱり勧善懲悪でめでたく終わってほしい」、と思っていた公開当時の1995年には、ラストシーンにモヤモヤしたものです。

しかし、それはまだ映画を観る側が成熟していなかっただけ。今見ると実にうまい脚本だと感心します。ちょっと展開が遅いなと思える部分と早すぎる部分があり、もう少しちょうどよくできなかったかな、と残念です。

ブルース・ウイリスが、この役は彼以外考えられないくらいよかったと思います。ブラッド・ピットも若くてブッ飛んでいるのがいい。この頃は上手かったのね。

監督のテリー・ギリアムはコメディのモンティ・パイソンのメンバーだった方。

映画の至る所に仕掛けがあります。テレビに映るアニメで酸素ボンベを吸っていたりとかたぶん1回見たぐらいでは気付かない、細か~いところにいろいろ仕込んであるようです。浮浪者のニオイに一瞬顔をゆがめるキャサリンとか、ほんとに細かい演出はさすがです。

冒頭で「あることを基準に考えると」と書いたのは、「テロを未然に防げ」というミッションではなく「2035年の人類の滅亡を防げ」ということだったのを思い出してほしいということです。

そう考えるとラストシーンのモヤモヤがむしろスッキリしたものに。

ようやく私たちがこういう映画に慣れて、追いついた気がします。当時見た人も、今また観てみると新鮮かもしれません。


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